初心者・若手MR向け、文献に対する心構えと読む際のポイント。外資系製薬会社経営企画勤務の元MR、MSLが独自の切り口で解説します。

戦略的キャリア形成
この記事を読んでわかること
・文献を読むための環境作りの重要性
・文献をストックする習慣の重要性
・文献を読む際の順番とポイント

どうもこんにちは、こういちです。

新年明けましておめでとうございます。

2023年は製薬会社での本業も、副業(本ブログ含む)も、投資も、健康管理も、すべて全力で走り抜けたいと思います。引き続きよろしくお願い致します。

さて、新年一発目の投稿は、リクエスト頂いた内容について記事にまとめていきたいと思います。

ずばり、「文献」に関しての記事です。

実はTwitter経由で、新卒のMRの方向けに「文献の調べ方や読む際のポイント、コツを解説してください!」と依頼がありました。

現役の医師や薬剤師、また製薬会社のR&D勤務の方, MSL, MRの方に比べると、最近はめっきり文献に触れる機会が少なくなってしまった外資系製薬会社経営企画所属のこういちではありますが、過去にはある薬剤のレビュー論文を執筆・投稿した経験もございます。

今回は、「MR活動の役に立つ」という観点から、文献に関するこういちなりの考え方や読み方をまとめていきたいと思います。

若手MRの方のお役に立てれば嬉しいです。

■文献を調べ始める前に、、、読まざるを得ない環境作りを!

MR一年生のみなさんは、気合も十分で、勉強する気概に満ちている(?)と思います。

先輩にも、「論文はちゃんと読んでおくように!」とか、「知識のUpdateは必要だよ!」なんて、言われることもあろうかと思います。

はりきって、毎日のTo Doに「1日1文献読む」なんて書いている新人MRの方もきっといるのではと思います。

かくいう、こういちもMR1年生の時、手帳に「1日1文献」と書いていた記憶があります。

でもですね、

これ、、、、

続かないんです。

ホントに、、、

びっくりするくらい、続きません。

毎日の病院の訪問、アポイントの調整、日報の入力、講演会の準備、社内会議の対応、etc

気づけば、夜の22時。

もうへとへと、

文献なんて、読む気が起きません。

「1日1文献」のように、漠然とした目標の立て方をすると、まず続かない。

実際私が、そうでした。

ではどうすれば良いか?

一つの解決策として私が取った戦法をご紹介します。

それは、「業務に組み込む」ことでした。

例としては、以下のようなものです。

例1)チームで月に2回、勉強会を開催し、文献について自ら説明する時間を設ける。

例2) 自社の薬剤のストーリーを強化してくれるような文献をExcelベースで管理し、メールおよび週1回のチームMeetingで共有する。

例3) 学会発表を控えた医師に対して、その内容をヒアリングし、Referenceに役に立ちそうな文献情報をまとめてお伝えする。

おそらく例1)のような、チームで勉強会をするといった取り組みは、比較的、どこの製薬会社の営業所でも取り組まれていることかなと思います。

ポイントは、強制的にInputしなければいけない環境を作ることです。

業務に組み込む≒読まざるを得ない環境作りをする。

知識をUpdateしていくには効率的なやり方だと思います。

3日坊主になっているMRの方や、なかなか文献習慣が続かないというMRの方がいたら、ぜひ参考にしてくださると嬉しいです。

負荷は掛かるは掛かるのですが、その負荷は自らの血となり、肉となります。

■読みっぱなしにせずに、ストックしましょう!人間は簡単に忘れる生き物です。ツールも紹介します。

読み方のポイントに行く前に、大事なことをもう一つ。

それはストックする」ことです。

読んだ文献の情報は自分なりに整理して、保管しておくことをお勧めします。

医師に論文情報を聞かれた時や同僚から質問があったときに役に立ちます。

すぐに回答できたらかっこいいですよね。

基本的に、大量の文献情報を全て覚えておくなんてことはできません。

人間は簡単に忘れる生き物です。

なのでストックし、管理してください。

昔は、それこそ紙で印刷したものをファイルに保管したり、Excelで整理したりしていましたが、いまはテクノロジーの時代です。

文献管理ツールはいくらでもあります。

■Endnote

■Mendeley

などがありますので、良かったらGoogleで調べてみてください。

私はMR時代は使ってませんでしたが、MBA在学中はEssayや修士論文の執筆でReferenceを管理する必要があり、Mendeleyを活用していました。

PDFを取り込んで、ハイライトを付けて保存ができたり、文献の分類分けなどもできるのでとっても便利です。

この文献情報が貯まっていくと、達成感も味わえるのでおすすめです。

月に10報、20報貯まっていって、半年後には60報~120報になります。

ストックした文献情報はあなたの知識となり、武器になります。

超絶オススメします。

■文献には型があります。

さて、次は読み方です。

日本語の文献、英語の文献、色々ありますが、基本的に医学系の文献には型があります。

それが以下です。

1.タイトル Title

2.抄録 Abstract

3.背景 Introduction/Background

4.研究方法 Methods

5.研究結果 Results

6.図 figureと表 table

7.考察 Discussion

8.結論 Conclusion

この型があるということを知っておくだけで、読む効率があがります。

■読む順番とポイント解説 ①抄録 ②図と表 ③研究結果 ④考察 ⑤その他

さて、いよいよ「読む」ということに関してお伝えしていきたいと思います。

っと言っても、ここは別に特別なことはありません。

おそらく、ほとんどの方がこの順番で読んでいるだろうなと思うからです。

①要約

②図と表

③研究結果

④考察

⑤その他

この順番で読んでいきます。

まず、①の要約は、要するにこの文献は何を述べているのか?を纏めたものです。

まずはこれを読んで、概要を把握します。

次は、②の図と表です。

全部の図と表に目を通します。

図と表に目を通す理由は2点です。

  1. 大事な情報や筆者が主張したい情報は図表に纏められていることが多いため
  2. 概要をクイックに把握することが出来るため

臨床研究に関する文献であれば、研究にエントリーされた患者背景、対象薬との有効性の比較データ、副作用情報などが図で纏められています。

各partに入る前に、、、

introductionを読み始める前に、、、

まずは図表を確認し、大事な情報、その文献が強調したいポイントを抑えにいきます。

次は、③研究結果

結果は当然大事です。

ここには事実が淡々と記載されてます。

なので、読む側も淡々と読んで下さい。

図表が理解の役に立ちます。

次は、④考察です。

ここには結果から導き出される筆者の主張が書かれています。

主張をサポートするための参考文献もたくさん入ってきます。

研究の限界などもここでは述べられます。

この考察では批判的に読む姿勢も大切です。

「この筆者が主張したい点て、ホントに正しいんだろうか?」

「Limitationに書かれていること以外で、抜けている観点はないのだろうか?」

ちょっと疑って掛かる位で読み進めてください。

これをすると、自分なりに文献についての解釈が生まれてきます。

これを医師にぶつけたり、先輩にぶつけたりしてみてみることをお薦めします。

「おっ、こいつ、ちゃんと考えて文献読んでるな。面白い。」

ってなります。

(、、、ならなかったらすみません。)

でも、考えながら読んで、その見解を医師にぶつけてみるというプロセスは営業トークとしても活用出来るのでオススメですよ。

最後は⑤のその他です。

残るのは、「背景」、「研究方法」、「結論」ですが、ここまできちんと読んでいればだいたい内容は把握出来ているので斜め読みでオッケーです。

強いて言えば、「研究方法」は質問されることもあるのでここは確認しておくようにしましょう。

以上、読み方の順番とポイントについての解説でした。

■心構え-自社品に関することは①②③④⑤を完璧に-

自社品に関すること、例えば説明会スライドにまとめられているような文献は出来れば詳細を把握しておきたいところです。

薬剤の細かなデータ、臨床試験の詳細については、あなたが医師よりも詳しい状態でいることが、できるMRの条件です。

なので、説明会スライドで引用されていて、かつ自社品に関するものは、出来れば原著論文まで遡って、その内容を把握するようにすると良いでしょう。

それ以外の文献は基本上記の順番を意識しつつ、時間がない時は①②③を抑えにいくようにすることで、概要は掴めにいけるでしょう。

読んだらEndnoteやMendeleyでの保存をお忘れなく。

こういちは読んだ箇所で大事な部分には黄色ハイライトをつけるなど、工夫をするようにしてました。

読み返す時に大事なポイントをすぐに確認出来るので便利です。

■英語論文はテクノロジーをフル活用ください。

英語も勉強するという目的であれば、辞書を片手に文献を読むのも、立派な英語学習です。

MSL時代はそうやって時間を使ってました。

ただ、知識習得、文献の内容把握という目的だけであれば、そんな手間を掛ける必要はありません。

いまはテクノロジーを活用すれば、英語論文を日本語で簡単に読めます。

Pubmed の文献を日本語で検索できるサイトもありますし、

【例:Bibgraph(ビブグラフ)】

Bibgraph(ビブグラフ)| PubMedを日本語で論文検索
Bibgraph(ビブグラフ)は、PubMedを日本語で横断検索できる、医師向け医学論文検索ポータルです。PubMedでの論文検索ではタイトル・アブストが日本語に自動翻訳されます。日々の論文検索の効率化に、ぜひご活用ください。無料会員登録で、何度でもご利用いただけます。

DeepL 翻訳を活用すれば、PDF文献をまるまる日本語で読むことが出来ます。

詳しいことはGoogle先生で検索してみてください。

英語力の向上には寧ろマイナスに働くこのシステムですが、忙しいMRのみなさんには強い味方です。

ぜひ積極的にご活用ください!

以上、文献の読み方とポイントについて解説させて頂きました。

これまでの内容をまとめると、

■文献を調べ始める前に、、、読まざるを得ない環境作りを!

■読みっぱなしにせずに、ストックしましょう!人間は簡単に忘れる生き物です。ツールも紹介します。

■文献には型があります。

■読む順番とポイント解説 ①抄録 ②図と表 ③研究結果 ④考察 ⑤その他

■心構え -自社品に関することは①②③④⑤を完璧にしたい-

■英語論文はテクノロジーをフル活用ください。

以上について述べさせて頂きました。

1人でも若手MRの役に立ったのであれば、嬉しく思います!

最後までお読み頂きありがとうございました。

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