この記事を読んでわかること ・創薬をめぐる企業研究者の苦労
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どうも、こんにちは。
外資系製薬会社経営企画室につとめるこういちです。
朝活は118日目に突入しています。
最近は起きると朝が暗い。
でも継続します。
朝は人生のゴールデンタイムなので。
さて、今日はブログ読者の方から頂いた記事のご紹介です!
募集は、上記ブログ記事にて9/23に行いました。
今日は①製薬×感動エピソード編ということで、そのうちの1つの記事をご紹介していきたいと思います。
ご応募頂いたのは「匿名希望研究者さん」になります。
それでは早速、記事をお届けしていきたいと思います。
製薬 x 研究エピソード
【自己紹介】
はじめまして、私は内資製薬企業で、研究の中でも最上流の探索研究に携わっていました。
10年ほど製薬企業で勤めたのち、
現在は非製薬系バイオ企業で、製薬企業向けの支援事業の立ち上げを行っています。
製薬企業で働く人にとってのやりがいは、
自身が携わった開発品がめでたく承認され、
実際の臨床現場で活用されることで患者の希望となること、
ということに異論を唱える方はいないと思います。
私が従事していた探索研究は、
新薬創出の初期段階であり、
プロジェクト(以後PJ)の開始から医薬品が誕生するまでには通常 10 年から 15 年かかると言われます。
しかし、探索研究から携わってきたPJから医薬品になったなんてことが経験出来る人は研究所でも稀です。
というか、ほとんどいないといってもいいほど確率の低いものです。
成功確率の低さはさておき、
私にとっての探索研究の魅力は
「創薬の最上流で、次世代医薬品を探す≒未来の医療を作る」
ことが出来るということだと思っていました。
今もそれが間違いだとは思いませんが、
あるPJ を通じて、もう一つ喜びがあることが分かりました。
【若造よ、創薬はそんなに甘くない】
遡ること 10 年以上前、
狭き門をくぐり抜け、私は晴れて製薬企業の研究職に採用されました。
社長をはじめとする経営幹部から、
「会社の将来を支える役目を背負い、思う存分活躍してほしい」
という歓迎の言葉で迎えられ、希望がさらに膨らみました。
しかし、現場に入ってしばらくすると、
定年間際のシニア研究者から
「自分が関わった PJ から医薬品が生まれた例はない」
という何気ない会話を聞き、一瞬どきっとしました。
確かにそんなに甘くないよなと思いながら、
自分は違うと信じながら、
与えられたものや、自身で提案した PJ に取り組む日々を送ります。
時は流れて10 年もすると、
関わった PJ から一つも臨床試験に進んでいないことに気が付き、
焦る気持ちもありつつ、どこか諦めの境地に入っていました。
「画期的な新薬を作る!」なんて口が裂けても言えず、
家族や知人から「研究している薬はいつできるの?」と聞かれると、
「薬の研究と開発には時間がかかるんだよ」と通り一辺倒の回答をするようになっていました。
いつの間にか、「作りたい」という気持ちは「作れたらいいな」という願望に変わり、
先述のシニア研究者の卵研究者の出来上がりです。
しかし、神様がチャンスをくれたのか、
その時は偶然、突然やってきました。
【わたしは知っている】
数年前、私はある感染症治療薬の研究プロジェクトに参加する機会を得ました。
当時、社内ではそれが重要なものとは見なされていませんでした。
厳密には、実際の社会的な需要が 10 年から 15 年後にまだあるかどうか疑問視されていました。
そのことを十分に理解しているプロジェクトの責任者が、
控え目にプロジェクトの重要性を語っていたことが印象的でした。
製薬企業の研究現場では、
新規メカニズム(通称:ピカ新)の医薬品創製を目指した PJ は上層部から評価されにくく、
多くのPJは他社の成功例に倣うものでした(通称:ゾロ)。
実際、成功例のあるPJの方が研究戦略や方法も先例を踏襲して進めることができるため、
研究開発期間を考えると、
ゾロが多くなることは不思議なことではありません。
私が参加を打診された PJ は前者で社会的な意義は明確であったものの、
治療薬がない感染症であったため、研究戦略や方法を参考にしながら進めることが難しいものでした。
とりわけ、治療薬を本気で目指すのであれば、
1 日でも早く臨床現場に届けなければ意味がないということもあり、
参画するか迷いました。
しかし、始めるならこのタイミングしかないと思ったことと、
自身が貢献できるポイントが明確だったので、
参画することにしました。
PJは順調に進み、得られるデータは世の中のどこにも知られていないものばかりでした。
数人程度のメンバーでしたが、毎週新たなデータを見るたびにワクワクして議論を重ねていきました。
そのワクワクの理由を自分なりに紐解いたとき、こんな表現にいきつきました。
それは、「まだ誰にも知られていない可能性を発見してしまった」という感覚でした。
感動というより感覚という方がしっくりきます。
実際には研究の初期段階であり、
臨床試験や承認取得はまだ先の話でしたが、
それでもワクワクが止まりませんでした。
さしずめ、まだ売れていないアーティストを見つけて、
一人でテンションがあがりきっている状態に近いかもしれません。
【あの感覚よ、もう一度】
その後、他のメンバーが PJ を引き継ぎ、私は離れることになりました。
さらに半年後には、そのプロジェクトが研究所でトップの優先度となりました。
まだまだ研究初期にも関わらず、
製造ラインや臨床開発の計画といった下流プロセスについての議論が活発に行われていきました。
数年後には臨床試験が始まり、製造販売承認まで驚異的な速さで進展しました。
残念ながら、一研究員が、そして会社を離れた私が、
薬の効果に関して患者様の声を生で聞くことはありませんし、
詳細は会社のIR資料でしか知ることが出来ません。
ただ、自分が携わった医薬品が社会の、患者のお役に立っているのは事実です。
嬉しいというより、ほっとしたというのが率直な気持ちです。
そして、「誰も知らない可能性を発見してしまった」。
あの感覚をもう一度味わいたいと本気で思いますが、
実際には味わえない可能性のほうが高いかもしれません。
けど、あの感覚は創薬研究に関わる人間ならではのものかもしれないと思ってなりません。
こういちの感想 -創薬研究者の苦労と苦悩を垣間見た気がします-
いかがでしたでしょうか?
研究者の方であれば、共感する部分もあったのではないでしょうか?
私はこの「匿名希望研究者さん」の記事を読んで感じたことは、
「やっぱり薬を世の中に出すってことは相当難しいし、時間が掛かることなんだな。」
という感想でした。
創薬の世界のことって、分かっているようで、私自身全然分かっていませんでした。
定年間際の方が「自分が関わった PJ から医薬品が生まれた例はない」ということを話された事例をご紹介頂きましたが、
私はその文章を読んで
「まじか、そんなこともあるんだ。うかばれないよ、そんなの・・・」
って思ってしまいました。
でも、そういうことが起こりえるのが創薬研究の世界なんですね。
大変勉強になりました。
ものすごく根気のいるお仕事だということをこの文章を読んで感じました。
「長い時間を掛けて、薬の種を見つけて、それがものになっていく。」
そんな過程に携わることができた喜びを、この「匿名希望研究者さん」の記事を読んで感じることができました。
『まだ売れていないアーティストを見つけて、一人でテンションがあがりきっている状態に近いかもしれません。 』
という記述が、絶妙に心理描写を表現していると感じました。
ユニークな記事をお書き頂き、誠にありがとうございました!!
創薬研究に携わりたいなら内資系の製薬会社へ
創薬研究者の転職事情に明るくはないですが、
基本外資系の製薬会社の研究所は海外にあります。
そのため、日本で研究をしたい場合は、内資系の製薬会社か、内資系の創薬研究をしている企業に入る必要があります。
大手と言われる内資の製薬会社は、研究者の募集を定期的に行っていますよね。
また創薬研究をしている企業、例えばTORAYとか、RIKENなど、そういう企業に就職・転職するという道筋もあります。
創薬研究者の転職をサポートしている企業さんはいくつかありますが、以下2社に求人情報がたくさん掲載されています。
製薬ニュースのAnswersNewsでおなじみのAnswersさんです。
実は、転職エージェントも運営されています。
今回、業務提携のお話を頂き、今月からブログで紹介できる運びとなりました。
創薬、基礎研究などで検索かけてもらうと色々情報見ることができます。
もう一つはエンワールドジャパンさんです。
エージェントさんの中に元製薬会社の人事の方がいます。
なので製薬の内情に詳しい。
お話した印象は製薬会社側の内情だったり、給与体系だったり、福利厚生だったり、そのあたりに詳しいです。
前回、こういちはお世話になってます。
その時のことも過去ブログにまとめてあります。
どちらの企業さんも内資系の会社さんにはがっつり営業掛けているので、人事とのパイプラインも強いです。
アカデミアの方で、創薬研究に従事したい方
すでに企業研究者ではあるければ、別の企業への転職を検討したい方
こういった方々は、情報取ってみてもいいかもしれません。
ということで、本日のブログ内容は以上になります。
最後に「匿名希望研究者さん」にお礼申し上げ、今日のブログを終了したいと思います。
記事の寄稿、誠にありがとうございました!!!
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