この記事を読んでわかること
・株の値動きが予想しやすい製薬会社の特徴
・製薬会社の株の購入タイミング
どうも、こんにちは。
外資系製薬会社経営企画室に勤めるこういちです。
私は仕事柄、他社の分析というか、治療領域の分析を行うことがあります。
その中で気づいた製薬会社の株の値動きに関して、今日はお得になるかもしれない情報をお伝えしたいと思います。
私はこの値動きに着目した結果、株初心者ながら3カ月で100万円以上の収益を挙げました。
製薬会社の株購入のタイミングの一助になれば幸いです。
なお、私は株の専門家ではありませんし、株式投資の経験も1年未満と全く長くはありませんので、あくまで参考情報として御覧ください。
株の値動きが予想しやすい製薬会社の特徴
ある一つの薬剤がその製薬会社の将来の半分以上の売り上げを占めるようなケース≒バイオベンチャー
株の値動きが予想しやすい製薬会社の特徴は、
「ある一つの薬剤がその製薬会社の将来の半分以上の売り上げを占めるようなケース」
になります。
つまり、一つの薬剤の売り上げが、その会社の売り上げの多くを占める場合は、予想がしやすいと考えています。
なぜなら、一つの薬剤の売り上げ≒その会社の売り上げとなるため、その薬剤がどれだけ売れるのか?ということがわかれば、だいたいその会社の将来の収益を予想できることになるからです。
言い換えれば、バイオベンチャーのようなコンパウンドが多くない企業のほうが予想しやすいということになります。
逆に、コンパウンドが多く、売り上げが数多くの薬剤で構成されているような製薬会社の株価というのは予想がしずらくなります。
極端な例ですが、コロナで話題のモデルナとファイザーがわかりやすいかもしれません。
【モデルナの株価の推移】
2020年7月 59ドル
2021年7月 235ドル
1年で176ドルUPです。約4倍の株価UPですね。コロナバブルですね。
*追記:
2021年 10月 400ドル近く
2022年 7月 155ドル
【ファイザーの株価の推移】
2020年7月 32ドル
2021年7月 39ドル
一年で7ドルUPのみ。コロナバブルが来てもよさそうなのに。。。
*追記
2021年 12月 60ドル近く
2022年 7月 51ドル
この二つを見れば一目瞭然かと思いますが、モデルナは株価がものすごい上がり方をしているのに対して、ファイザーの株価の上がり方は緩やかです。
どちらの企業もコロナワクチンで大きく売り上げを出しているのに、この違いはなぜでしょう?
それはワクチンの占める会社の売り上げ構成比が大きく異なるためです。
モデルナはバイオベンチャーです。会社全体の売り上げのほぼ100%がワクチン事業からのものです。
対してファイザーは超有名なメガファーマ。ワクチン以外の薬剤も数多くあり、会社全体の売り上げに占めるワクチンの割合はモデルナほど大きくありません。
その違いが株価の値動きに現れています。
従って、一つの薬剤の売り上げが、その会社の売り上げの多くを占める場合は、業績予想がしやすい=株価の値動きが読みやすいということになります。
製薬会社の株購入のタイミング
さてここからは製薬会社の株購入のタイミングについてご紹介していきたいと思います。
ちなみに今日私が紹介する方法が最もあてはまるのはバイオベンチャーのようなコンパウンドの数が少ない製薬企業の場合であると思っています。
コンパウンドが多い企業やパテント切れで収益悪化の予想が見込まれる企業にはあてはまりませんので、その点ご留意ください。
Pivotal(ピボタル) 試験発表直後
Pivotal (ピボタル)試験というのは、その薬剤に関して有効性を示す主な根拠となる重要な臨床試験となります。
承認申請の際の根拠になりえる臨床試験のことで、
①適切なサンプルサイズがあり
②プラセボ、または標準療法を比較対象に用い
③2重盲検でランダム化され
④第Ⅱ相または第Ⅲ相試験であること
が条件であるとされています。(参照:実験医学オンライン)
このPivotal試験の結果というのは、通常主要な学会で発表されるのが一般的です。
血液がん領域であれば、ASH(米国血液学会)
固形がん領域であれば、ASCO(米国臨床腫瘍学会)
など、その領域における主要な国際学会で結果が発表されます。
ここでの発表の結果がプラスであった場合は、株購入の良いタイミングとなります。
なぜなら、このデータに基づいて製薬企業は申請を行うためです。
結果が良いということは、申請してから承認される可能性も高いということになります。
そのため将来の業績にプラスの影響が出る可能性が高くなります。
よって、株購入の良い判断材料になります。
いくつか思い当たる米国企業の株価を見てみましたが、Pivotal試験発表後から徐々に株価が上がっている企業が散見されました。
承認申請後
承認申請されたというのも、判断材料の一つです。
もちろん、申請しても承認されなければ薬が世に出ないわけですので、まだリスクは伴います。
ただ多くの場合は承認され、発売されます。
そのため、承認申請されたというのは好材料になります。
特に大きな売り上げが見込める薬剤が承認申請されたというニュースがあれば購入を検討するタイミングになるでしょう。
私の印象では、このニュースに対して、株価はそこまで跳ねない印象があります。
おそらくまだ発売までに日が長いことや、承認されないリスクもはらんでいるため、そこまで株価に反映されないのではと思ってます。
なのでこのタイミングで買えば割安で株を購入できることになります。
承認前
承認前に買う。
これも重要なポイントです。
なぜなら承認後は一気に株価が上がってしまうから。
バイオジェン株がいい例ですね。(ちょっと極端ではありますが)
アデュカヌマブのFDA承認が決まり、バイオジェン株は一気に跳ねました。
アデュカヌマブが申請されたという時にも上がりましたが、承認された時は数日で100ドル近く値を上げています。
なので承認されてから購入を進めたのでは遅いです。承認前に買わないと駄目です。
ちなみに私はバイオジェン株およびエーザイ株には手を出していません。
承認前、アデュカヌマブ承認には疑問を持たれている専門家も多く、承認されないリスクも多くはらんでいたためです。
博打的な要素が強かったため、私は手を出しませんでした。
私が好むのは、もう少し確実性が高く、市場でも勝てるコンパウンドを持っている企業の株です。
*追記 2022年7月:
みなさんご存じのようにUSではアデュカヌマブは使用が制限され、ヨーロッパでは承認が認められませんでした。
結果、株価は大暴落です。
具体例
シンバイオ製薬
承認申請後、承認前に買ってよかった代表格の一つが、シンバイオの株です。
シンバイオの株はPivotal試験発表時および承認申請発表時の株価はそこまで高くありませんでしたが、承認取得が見えてくると、徐々に株価が上がっていきました。
具体的な株価の推移をご紹介します。
①Pivotal試験の発表 (2019年11月:株価は700円前後)
シンバイオの売り上げの多くを占めるベンダムスチンのDLBCLに対するPivotal試験の結果の発表は2019年11月に行われています。リンク
この時の株価は700円前後で株価の変化もあまり見られませんでした。
②承認申請の発表 (2020年5月:株価は500円前後)
ベンダムスチンのDLBCLへの適応追加申請。リンク
Pivotal試験の時よりも減少していますが、これはコロナによる日本全体の株価マイナスの影響である可能性が大きいとみています。
これが平時であれば、おそらくPivotal試験の時と同じくらいの株価かもう少し上の株価で推移していたと思います。
③適応追加の承認取得 (2021年3月:株価は1200円前後)
ベンダムスチンのDLBCLへの適応追加取得。リンク
年明けから徐々に株価が伸びていきました。
2020年12月時点での株価は500円前後でしたので、承認取得が近づくにつれて徐々に伸びていきました。
④現在 (2021年7月:株価は2200円前後)
ベンダムスチンの適応拡大がされてから4カ月で、株価は2000円台に突入しました。
時系列で表すととこんな感じになります。
承認されるかも(2021年1Q)というタイミングでぐっと上がってますよね。
年明け位から徐々に上がっていっています。
年明けの時は400円台の時もあったので、その時と比較すると2021年7月現在の株価は5倍近くになっています。
私は株の経験もまだまだ浅いですが、ちょうど去年ベンダムスチンの承認申請のニュースを知りました。
そして株価をチェックしたら、「あれ?株価安くないか?もしやチャンス?」ということに気が付きました。
ベンダムスチンが適応拡大されるDLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)の市場であれば多くの患者数が見込めるため、Key Drugになりえるレジメンに組み込まれるのであれば大きな売り上げが期待できます。
シンバイオのベンダムスチンはその可能性が大きくあったため、「これは株購入のチャンスかもしれない」と思い、去年の段階で購入を進めました。
そして、今年。承認され、いっきに株価が伸びました。
おかげで株の軍資金を増やすことに成功しました。
*追記
2022年7月 現在株価は750円前後に下がってしまいました。後発品の影響でしょう。売るタイミングの重要性を感じますね。
海外製薬会社2社 Beigene社/Genmab社
シンバイオの事例と似たような値動きをしている製薬会社の株をいくつか知っています。
バイオベンチャーにはなりますが、
Beigene社
Genmab社
これらの製薬会社です。
この2社については、2019年にはすでにその存在を知っており、学会発表などのデータやポートフォリオを見ても、将来伸びてくる会社として認識していました。
なので、このタイミングで株を買っていれば、、、もっと資産を増やせていたかもしれません。
仕事柄、他社の分析や領域の分析を行うことが多いため、比較的こういった企業を見つけやすい状況にいます。
今後こういった企業を見つけて、投資していくことで資産形成を図りたいと思います。
*追記:2022年7月 1年後の株価はこの時よりも両社下がっていますね、、、、
ちなみに私はあまり細かいチャートの動きのことなどはわかりません。
どちらかというとその企業を応援することの意味合いもこめて、中期・長期に株を保有し、リターンを得るという考え方で株式の運用を行っています。
今後、将来有望な企業の情報などもこのブログでご紹介できたらと思っています。
まとめ
ということで今日は、以下の情報についてブログを書きました。
・株の値動きが予想しやすい製薬会社の特徴
・製薬会社の株の購入タイミング
1 Pivotal(ピボタル) 試験発表直後
2 承認申請後
3 承認前
・具体例の紹介
まだまだ投資も始めたばかりですので、お役に立つかわかりませんが、ご興味ある方のお役に立てば幸いです。お読み頂き、ありがとうございました。
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