この記事を読んでわかること ・モデルナのGlobalパイプライン ・モデルナの日本のパイプライン
どうもこんにちは、外資系製薬会社経営企画室に勤めるこういちです。
以前、こんなツイートをしました。
ということで今日はモデルナについてブログにまとめていきたいと思います。
株主向けの情報と、日本の臨床試験の情報を中心にまとめていきたいと思います。
モデルナの現状
さて、モデルナの今を知ろうと思って、株主向け情報にアクセスしてみました。
すると、2022年のFull year Financial Resultsが2023年2月23日に公開されていました。
この資料がパイプライン情報含めてまとまっていますので、ここから抜粋してお届けしたいと思います。
2022年の全世界売り上げ
じゃん!!
Revenewが$19.3 billion
Net Incomeが$ 8.4 billion
いやー、儲かりまくってますね。
仮に1$=130円だとすると、、、
- $1.0 billion = 1300億円です。
- $10 billion = 1兆3000億円です
つまり、
Revenew(売上)が$19.3 billion
= 2兆円5090億円
Net Income(純利益)が$ 8.4 billion
= 1兆0920億円
になります。
とんでもない額をたたき出してますね。
まさにコロナバブル。
現在はコロナのワクチンのみ発売。
Moderna COVID
19 Vaccine/Spikevax ® ,
mRNA 1273.222 and mRNA 1273.214
これだけが市場に出てます。
でも売上はこの数字。
全世界で売られてますからね。
支社は全世界ですでに16あるようです。
モデルナのホームページにいくと、こういった国々のリンクに飛ぶようになっていますので、
おそらくこういった国々に拠点があるんでしょう。
社員の数は2022年12月31日の段階で~3900人と記載がありますね。
売上2兆円5090億円 ÷ 3900人
⇒ 一人あたり約6.5億円
すごいですよね。
すごさを示すために武田薬品と比較します。
(武田薬品さん、ごめんなさい)
武田薬品の2020年の売上が3兆1978億円
従業員数 47,347名 ( 連結 ) ※2022年3月末時点の数字
売上が3兆1978億円 ÷ 47,347人
⇒ 一人あたり約6700万円
モデルナと比較すると約10倍の開きがあります。
武田薬品も1人あたり従業員の売上高は普通の業界に比べたら立派です。
ここで言いたいことはモデルナが異常だと言うことです。笑
超スーパー営利企業ということがご理解頂けたかと思います。
かしこい方なら次に言いたいこともお分かり頂けるかと思います。
そうです、当然、給与水準も高くなります。
モデルナのGlobalパイプライン
さて次に見ていきたいのはパイプラインです。
どんなパイプラインがあるのか?
見ていきましょう。
わかりやすい図があったので紹介します。
Pipelineリストが3つの表になってわかりやすく紹介されていました。
詳しくみたい方はこのリンクからダウンロード可能です。
結論から申し上げると48のプログラムが進行中です。
これまたすごい。
① コロナ、RSV、インフルエンザのワクチン開発
② 公衆衛生に必要なワクチン開発 (サイトメガロウイルス、HIV、ジカ熱、帯状疱疹、ニパウィルスなど)
③ 治療薬としてのワクチン開発(がん、プロピオン酸血症、フェニルケトン尿症、嚢胞性線維症など)
この3つの括りで表がまとまっています。
すべての情報を網羅するのは、さすがに大変すぎるので、ご勘弁ください。
ここで言いたいことは、すごい数のパイプラインがありますよということです。
一方で、Ph3入りしているものがどれだけあるか、ということもしっかり見ていく必要があります。
そうすると、少し様子が変わってきます。
① コロナ、RSV、インフルエンザのワクチン開発
Ph3入りしているのは、3つ
- コロナ、mRNA 1273.529
- インフルエンザ、mRNA 1010
- 高齢者RSV、mRNA 1345
② 公衆衛生に必要なワクチン開発 (サイトメガロウイルス、HIV、ジカ熱、帯状疱疹、ニパウィルスなど)
Ph3入りしているのは、1つ
- サイトメガロウィルス(CMV)に対するワクチン mRNA 1647
③ 治療薬としてのワクチン開発(がん、プロピオン酸血症、フェニルケトン尿症、嚢胞性線維症など)
Ph3入りしているのは、0
Ph3入りしているものは4つです。
そしてこの4つの領域ともすでに競合品のワクチン開発が先行しています。
まだまだ立ち上げたばかりの会社なので、各国の営業組織は整うまでに時間が掛かることでしょう。
私自身は苦戦を予想しています。
モデルナの日本のパイプライン
次に気になるのは、じゃあ日本はどうなのよ??
というところですよね。
ということで、情報を見てみたのでお届けます。
まず主たる治験の情報から (2023年3月31日時点)
治験成分記号 | 対象疾患 | 開発相 | 治験届出者名 | 実施予定期間 | ||
mRNA-1647 | 健康人【CMV初感染の予防】 | 第Ⅲ相 | 株式会社新日本科学PPD | 2022/11/06 | ~ | 2026/12/31 |
mRNA-1345 | 健康人【RSV関連下気道疾患の発症予防】 | 第Ⅱ/Ⅲ相 | 株式会社新日本科学PPD | 2022/07/25 | ~ | 2025/02/28 |
この2つのみです。
治験は新日本科学PPDというCROに委託しているようですね。
さて、次です。
ClinicalTrails.govを見てみました。
ClinicalTrails.govで2023年4月14日時点では4試験の情報が確認されました。
①Survey of the Moderna COVID-19 Vaccine in People at High-Risk of Developing Severe COVID-19 Symptoms : Withdrawn 中止
②Long-Term Follow-up Survey of COVID-19 Vaccine After Vaccination : Active not recruting 動いているけど、患者募集はしてない
③A Study to Evaluate the Efficacy, Safety, and Immunogenicity of mRNA-1647 Cytomegalovirus (CMV) Vaccine in Healthy Participants 16 to 40 Years of Age : Recruting患者募集中
④A Study to Evaluate the Safety and Efficacy of mRNA-1345 Vaccine Targeting Respiratory Syncytial Virus (RSV) in Adults ≥60 Years of Age : Recruting患者募集中
こんな感じです。
これだけ???
って思われた方、多いんじゃないかなと思います。
私も思いました。
Globalで開発が進んでいるPh1やPh2のものは、日本はまだ全然エントリーがされていないようです。
ここからはこういちの所感ですが、おそらくモデルナはこれから日本でのパイプラインの数を増やしていくと思います。
日本で治験を一つ立ち上げるのって、結構大変なんです。というか相当大変です。
日本法人もまだ新しいため、一つの試験を立ち上げるのに時間が掛かっているという可能性もあります。
なので、現状はこの数字にとどまっているのだと予想します。
立ち上げたばかりの会社なので納得です。
今後、2-3年すると数が増えてくると思いますので、要注目です。
モデルナの転職情報
たくさん来ますね。
Linked inでもしょっちゅう見かけます。
エージェントとも話をしたことありますが、給与水準はやはり高いとのことです。
RSUもあるようです。
ここから募集中の情報が見れます。
私は一度、JAC Recruitmentさんと情報交換しましたが、モデルナ案件については多くのエージェントが扱っている印象です。
ご興味ある方はぜひ一度エージェントから情報取ってみてください。
参考までにこういちが登録している転職エージェント一覧を掲載しておきますね。
エンワールドジャパン 製薬専門チームありです。
JAC Recruitment 外資系案件に強みをもっています。
マイナビエージェント どちらかというと内資系案件が多い。
リクルートダイレクトスカウト 本社系案件に強い印象。
【ランスタッド】 外資系案件に強みを持っています。
【アクシスコンサルティング】コンサルティング会社に興味があれば、登録しておいて損はないです。特にBIG4(PwC/EY/KPMG/デロイト)とのコネクションが強く、実績を出しています。20代なら挑戦するのもおおあり!キャリアの幅がぐんと広がります。
毎回ブログの中でお伝えしていますが、その時々で求人が入ってくるエージェントが異なる印象ですので、上位に上げたうちの1-2個は登録しておくことをお勧めします。
また最後になりますが、Twitterもやっております。
おかげ様でフォロワー2700人となりました。引き続きTwitterでもキャリア、ヘルスケア、製薬関連の情報を共有していきます。
どうぞよろしくお願い致します。こういち。
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