外資系製薬会社経営企画こういちの注目の外資系バイオベンチャー。インサイト。期待の新薬タファシタマブとパルサクリシブについて、情報をまとめてみた。高年収やRSUも魅力的。米国発のバイオベンチャー。

製薬会社の将来を考える
この記事を読んでわかること
・インサイトのパイプライン
・インサイトの日本における開発状況
・タファシタマブとパルサクリシブのこと

どうも、こんにちは。

外資系製薬会社経営企画室に勤めるこういちです。

今日取り上げる外資系バイオベンチャーは、「インサイト」です。

正式名称はインサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社。

一時期の採用ブームは過ぎたかもしれませんが、パイプラインを分析すると、今後も継続的な採用が期待できる会社です。

米国発のバイオベンチャーなので、給与水準が高いことに加えてRSUも期待できるインサイト。

今日はパイプラインの情報、株主向け情報、日本のプレスリリース、他の方のブログ情報を分析して見えてきた「インサイト」について、独自の視点で解説します。

インサイトとは

Biopharmaceutical Company | Solutions for Unmet Medical Needs |Incyte.com
Incyte is a global biopharmaceutical company focused on finding solutions for serious unmet medical needs through the discovery, development and commercializati..read more

インサイトについて 

インサイト・コーポレーション(インサイト)は、米国デラウェア州ウィルミントンに本社を置く、グローバ ルなバイオ医薬品企業です。

自社開発治療薬の創薬、開発、販売を通じて、最も重要なアンメットメ ディカルニーズへのソリューションの追及に全力を尽くしています。

インサイトに関する詳細な情報は、 当社ウェブサイト(Incyte.com)または当社ツイッター(@Incyte)をご覧ください。 

インサイトプレスリリース 2022年4月28日

のっけから引用を使わせてもらいました。

ただ情報が薄い・・・

 

ということで他の情報ソースも見ていきます。

インサイトのことをネットで調べると色々情報が出てきます。

米インサイト 日本市場に本格参入…胆管がん薬を自社販売へ、パイプラインに7つの新薬 | AnswersNews

日本市場参入から1年…インサイトの現在とこれから、ドラッグ・ラグ解消への想い | AnswersNews 

パルサクリシブとタファシタマブに期待 インサイトの新薬開発 | 日刊薬業 – 医薬品産業の総合情報サイト 

Answersや日刊薬業の記事をお読み頂ければ、日本法人の動きはだいたいわかります。

  • JAK阻害薬「ジャカビ(日本での販売はノバルティス)」 「オルミエント(日本での販売はイーライリリー)」の導出元であること
  • 日本では胆管がんの薬剤であるペミガチニブ(製品名:ペマジール)を申請・販売していること
  • 2022年9月の段階でMRは9人でペミガチニブの情報提供にあたっている事
  • ペミガチニブは薬価算定で35%の有用性加算と10%の市場性加算がついたが、原価の開示度合いが低い新薬の加算を減らすルールによって、本来の加算額の20%しか薬価に反映されなかったこと

 

などなど、これらについての記載が見つかります。

なので私のブログで、会社云々の話は割愛させてもらいます。

インサイトのパイプライン(Global)

Portfolio: MPNs & GVHD, Hematology/Oncology, Dermatology & Inflammation & Autoimmunity

小さくて、見えないですよね。ごめんなさい。

詳しく見たい方は、上記のリンクから見て貰えればPDFにアクセスできます。

大きな開発の柱は3つです。

①MPNs and GVHD

(骨髄増殖性腫瘍と移植片対宿主病)

②Dermatology and Other IAI

(皮膚科疾患と他の炎症自己免疫性疾患)

③General Hematology/Oncology

(一般的な血液がん/固形がん)

となっています。

MPNs and GVHD(骨髄増殖性腫瘍と移植片対宿主病)

すでに承認されている薬の情報は割愛します。

薬事承認申請に必要なデータを取得するために実施されるピボタル試験が動いているのは3つあります。

①ruxolitinib XR (QD) JAK1/JAK2 

ルキソリチニブ(1日1回) JAK1/JAK2阻害薬

これは1日1回タイプのルキソルチニブを開発しているようですね。

既存の製品との生物学的同等性と安定性を試験している様子。

いま発売しているルキソルチニブ(製品名:ジャカビ)は1日2回です。

ちなみにかっこ書きに記載のあるQDというのは、開発用語で1日1回投与を意味します。

1日2回の投与はBIDと表現します。

 

 

②parsaclisib PI3Kδ + ruxolitinib

パルサクリシブ(PI3K阻害薬)とルキソリチニブの併用療法試験です。

適応症は、Myelofibrosis(骨髄線維症 )です。

 

 

③axatilimab CSF-1R

アクシタリマブ (CSF-1Rシグナル伝達阻害薬)

適応症はChronic GVHD(慢性移植片対宿主病)です。

 

この3つですね。

 

Dermatology and Other IAI(皮膚科疾患と他の炎症と自己免疫性疾患)

薬事承認申請に必要なデータを取得するために実施されるピボタル試験が動いているのは2剤です。

①ruxolitinib cream JAK1/JAK2

(ルキソリチニブクリーム JAK1/JAK2阻害薬)

適応症は、Pediatric AD(小児のアトピー性皮膚炎) , prurigo nodularis(結節性痒疹)です。

 

②povorcitinib JAK1

(ポボシチニブ JAK1阻害薬)

適応症はHidradenitis suppurativa(化膿性汗腺炎)です。

 

この2剤ですね。

お気づきの人もいると思いますが、ruxolitinib(ルキソリチニブ)には経口薬(錠剤)と外用剤(クリーム)があります。

経口薬のほうは骨髄線維症などの疾患に、外用剤のほうはアトピー性皮膚炎などの疾患に適応取得を狙っています。

General Hematology/Oncology(一般的な血液がん/固形がん)

すごい数。

薬事承認申請に必要なデータを取得するために実施されるピボタル試験が動いているのは4剤です。

①pemigatinib FGFR1/2/3

(ペミガチニブ FGFR1/2/3の低分子キナーゼ阻害薬)

適応症は、1L cholangiocarcinoma 1st Line 胆管がんです。

 

②tafasitamab CD19

(タファシタマブ 抗CD19抗体薬)

1L DLBCL, follicular lymphoma, marginal zone lymphoma 

適応症は、1st Lineのびまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、MZLです。

 

③retifanlimab PD-1 (mAb)

(レティファニリマブ PD1阻害薬)

適応症は、Squamous cell anal carcinoma, NSCLC 肛門の扁平上皮癌・非小細胞性肺がんです。

 

④parsaclisib PI3Kδ

(パルサクリシブ PI3Kδ阻害薬)

適応症はWarm autoimmune hemolytic anemia 温式自己免疫性溶血性貧血です。

 

この4剤ですね。

さて、これまでは主にGlobal のパイプラインのリストを見てきました。

じゃあ、日本はどうなのよ?

というところがみなさんが一番気になるところかなと思います。

米国で承認されていても、日本では発売されていないものもたくさんありますからね。

ではここから日本のパイプラインの情報についてWatchしていきたいと思います。

インサイトのパイプライン(日本)

バイオ医薬品企業 | アンメットメディカルニーズへのソリューション Incyte.jp
インサイトは、グローバルに活動するバイオ医薬品企業です。新薬の創薬・開発・販売を通じて重大なアンメットメディカルニーズへのソリューションを提供することに重点的に取り組んでいます。当社は、「がん」と「炎症及び自己免疫疾患(IAI)」という2つの領域で臨床開発候補物質の多様なポートフォリオを有しています。

よし、インサイトの日本のパイプラインを見に行こう!!と思って、日本法人のホームページを覗きにいきましたが、項目を見つけることが出来ませんでした。

よし、それならばと、厚生労働省が公開している「主たる治験リスト」から情報収集だ!!

ということで、2023年3月31日の時点のリストを引っ張ってきました。

それが以下です。

一般名や投与経路/MOA(Mode of Action:作用機序)は調べた情報をこちらで加筆しました。

一般名投与経路/MOA対象疾患開発相実施予定期間  
TafasitamabParsaclisib注射、抗CD19抗体薬内服、PI3K阻害剤非ホジキンリンパ腫第Ⅰ/Ⅱ相2020/11/162025/05/31
Tafasitamab+Lenalido注射、抗CD19抗体薬びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫第Ⅲ相2022/05/042027/05/31
Tafasitamab注射、抗CD19抗体薬再発/難治性濾胞性リンパ腫又は再発/難治性辺縁帯リンパ腫第Ⅲ相2021/11/012028/09/30
Retifanlimab注射剤、PD-1抗体薬全身化学療法の治療歴のない手術不能な局所再発性又は転移性の肛門管の扁平上皮癌第Ⅲ相2020/12/012021/03/31
PemigatinibFGFR阻害剤FGFR1の再構成が認められる骨髄性/リンパ性腫瘍第Ⅱ相2020/01/012022/09/30
PemigatinibFGFR阻害剤胆管癌第Ⅲ相2019/03/142023/03/30
Parsaclisib内服、PI3K阻害剤原発性温式自己免疫性溶血性貧血第Ⅲ相2021/09/022024/06/30
Parsaclisib内服、PI3K阻害剤原発性及び二次性骨髄線維症(MF)を有する患者の治療第Ⅲ相2021/01/022026/02/28
Parsaclisib内服、PI3K阻害剤原発性及び二次性骨髄線維症(MF)を有する患者の治療第Ⅲ相2021/01/022025/08/31
Parsaclisib内服、PI3K阻害剤再発又は難治性の濾胞性リンパ腫第Ⅱ相2020/07/012022/10/31
Povorcitinib内服、JAK1阻害薬中等症から重症の化膿性汗腺炎第Ⅲ相                   2023/01/202026/01/30

全部で11個、第Ⅲ相だけでも8個の登録が確認できました。

たくさんありますね。

同じ薬剤で別の適応症の試験というものもたくさんありますが、これは将来有望ですね。

日本ではいまはまだPemigatinib(ペマジール)1剤のみ上市されている状況で、2022年9月現在のMR数は9名。

でもこれだけのパイプラインが存在する・・・

勘のいい方なら分かりますよね。

MRの増員はもちろん、本社スタッフの増員もこの1-2年で間違いなく出てくるでしょう。

日本のビジネス展開に関する考察と期待の新薬

次に知りたいのは、では期待の新薬はどれなのか?

あとGlobalで開発している皮膚科の薬はどうなるの?なんでリストにないの?

というところかと思います。

まず皮膚科の薬について回答すると、日本では”THE皮膚科の製薬企業”であるマルホさんと提携を結んでいます。

プレスリリースはこちら

マルホ株式会社(本社:大阪府大阪市北区、代表取締役社長:杉田 淳、以下「マルホ」)は、インサイト・コーポレーション(本社:米国デラウェア州、CEO:Hervé Hoppenot、ナスダック:INCY、以下「インサイト」)が開発した選択的JAK2阻害剤の新規外用剤であるルキソリチニブクリーム(有効成分名:ルキソリチニブ)について、インサイトがマルホに日本国内における自己免疫疾患および炎症性皮膚疾患治療のための開発権、製造権および独占的販売権を、導出するライセンス契約(以下「本ライセンス契約」)を締結いたしましたので、お知らせいたします。

本ライセンス契約の条件に基づき、マルホはインサイトに対し、契約一時金の他、今後開発および薬事上の進捗段階や日本での売上に応じたマイルストンと一定のロイヤルティを支払います。

マルホは、日本国内の白斑、アトピー性皮膚炎などの自己免疫疾患および炎症性皮膚疾患において、ルキソリチニブクリームやルキソリチニブの新剤形を開発・製造し、独占的に販売する権利を取得します。

2022年4月29日

日本国内におけるルキソリチニブクリームに関するライセンス契約締結のお知らせ

つまり、ルキソリチニブクリームについては、日本のことは開発・製造・販売すべてマルホさんにお任せ。ロイヤリティ収入を得るという戦略を取っています。

こういち的にこれは素晴らしい経営判断だなと思います。

患者数も多いアトピー性皮膚炎や白斑に対する治療薬を世の中に拡げていくためには、その国における企業のプレゼンスは非常に重要になります。

加えて、この領域、特にアトピー性皮膚炎の領域は相次いで新薬が投入されて競争もかなり激しいです。

その中で戦う、つまりシェアを獲得していくのは至難のわざです。

ましてインサイトは日本の皮膚科の中では無名ですし、MR数もかなり少ない。

なので皮膚科に強みを持つ日本企業へのライセンスアウトを選択する。

選んだ企業は皮膚科に強みを持つ日本の製薬企業マルホ。

合理的な選択です。

素晴らしい経営判断だと思います。

患者さんのためにもなりますね。

 

 

では次です。

インサイト日本法人が次に力を入れる新薬はなんでしょうか?

現在発売しているのはPemigatinib1剤のみです。

Pemigatinibの製品名はペマジール。

現在の適応症は

①がん化学療法後に増悪したFGFR2 融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん

②FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍

②については2022年8月に日本で承認申請が行われ、先日2023年3月27日に適応拡大したばかりです。

なので、2023年4月~2024年はこの薬に注力することになるかと思います。

 

 

でもその次ですよね。気になるのは。

その答えに繋がる回答を、社員の方がAnswersの記事の中で回答されています。

黒山氏:多くのパイプラインが臨床開発の段階にありますが、特に期待している2つの新薬候補についてお話しします。

1つ目は、非ホジキンリンパ腫を対象に開発している抗CD19抗体タファシタマブです。欧米ではすでに販売していますが、これをいち早く日本の患者に届けたいと思っています。

もう1つが、温式自己免疫性溶血性貧血と骨髄線維症で臨床第3相試験を行っているPI3Kδ阻害薬パルサクリシブです。温式自己免疫性溶血性貧血という疾患はあまり馴染みがないかもしれませんが、主な治療法はステロイドで、ステロイドが使いにくい患者には代替の治療法がないというアンメットニーズがあります。

両剤とも数年以内に日本市場に投入できるよう努力しています。

日本市場参入から1年…インサイトの現在とこれから、ドラッグ・ラグ解消への想い | AnswersNews  2022年9月26日

黒山さんという方は、インサイトのプロダクト&コマーシャルストラテジー エグゼクティブ・ディレクターの方です。

この方が仰るには、

抗CD19抗体タファシタマブ

PI3Kδ阻害薬パルサクリシブ

が次の期待の新薬だと述べています。

じゃあ、どんな薬なんでしょうか?

少しだけ情報を見ていきたいと思います。

抗CD19抗体タファシタマブ

海外(米国および欧州)ではすでに発売されており、MONJUVIのブランド名がついています。

日本の開発状況について以下から見ていきます。

ClinicalTrials.gov

Clinical Trails.govで2023年4月7日時点で確認された日本の臨床試験は3本でした。

(字が小さいですよね。ごめんなさい。)

Ph1試験(安全性の確認が主)1本とPh3試験が2本という形。

Ph3試験は

・再発難治例

・初発例

と患者群を分けての実施をする模様です。

再発難治例から適応を取得し、その後、初発に適応拡大していく開発戦略が見て取れました。

さて、米国および欧州では承認されているということで、気になるのはどれくらいの効果や安全性が見込める薬か?ということですよね。

FDAが迅速承認を出した時の日本語訳がありましたので、引用します。

FDAがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にタファシタマブを迅速承認

2020年7月31日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対して、レナリドミドとの併用でtafasitamab[タファシタマブ](販売名:MONJUVI)を迅速承認した。

タファシタマブはCD19をターゲットとする細胞溶解抗体製剤であり、低悪性度リンパ腫由来のDLBCLで自家造血幹細胞移植の対象とならない患者に対して適応となる。

タファシタマブとレナリドミドの併用療法の有効性は、81人の患者を対象とした多施設共同の非盲検単群試験であるL-MIND試験(NCT02399085)で評価された。

患者には、レナリドミド(28日間の各サイクルの1日目から21日目までに25mgを経口投与)と併用してタファシタマブを12mg/kg、最大12サイクルまで静注した後、タファシタマブを単剤で投与した。

有効性は、独立審査委員会によって評価された、完全奏効と部分奏効、および奏効期間で定義された最良の奏効率(ORR)に基づいて評価された。

71人の患者は病理中央診断によってびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断され、最良のORRは55%(95%信頼区間[CI]:43-67%)で、完全奏効は37%、部分奏効は18%であった

奏効期間中央値は21.7カ月(範囲:0-24カ月)であった。

最もよくみられた(20%以上)副作用は、好中球減少、疲労、貧血、下痢、血小板減少、咳、発熱、末梢性浮腫、呼吸器感染症、食欲減退であった。

FDAがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にタファシタマブを迅速承認 | がん治療・癌の最新情報リファレンス 2020年8月7日

ORR55%、完全奏効37%

効いてますね!素晴らしい。

っと、ここまで見て、こういちが気になったのは競合の存在です。

このDLBCLの領域には他にも薬が相次いで登場していますよね。

CAR-Tは3剤(ノバルティス、BMS、ギリアド)ありますし、抗体製剤は中外のポライビ―、またジェンマブのエプコリタマブも2023年末に発売が控えています。

タファシタマブにとっては中々タフな状況ですね。

静注ですし、ORRも他の薬剤に比べて、ずば抜けて良い成績かと言われるとそういうわけではありません。

私自身がこの領域に詳しくないので、なんともわかりませんが、、、

 

ただ抗体医薬としてDLBCLの再発難治の市場に参入するのは3剤目、

CAR-Tを含めると7剤目になります。

 

そうなると、この中で薬剤のポジショニングを形成するのは容易ではないなという感想を持ちました。

私なんかよりもこの領域でがっつりお仕事しているオンコロジー血液領域担当者、特に中外製薬のMRさんやジェンマブのMRさんなんかは私よりも、よほどお詳しいと思いますので、将来予想などお聞きしてみたいところです。

 

あと、タファシタマブのことを調べる中でDLBCLのことを勉強するのによくまとまっている中外製薬さんの資料を見つけたので、こちらのリンクもつけておきますね。

中外製薬株式会社 – 抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗 CD79b モノクローナル抗体 「ポライビー点滴静注用」説明会 2021 年 6 月 3 日 

証券会社のアナリスト向けに作成された資料のため、わかりやすかったです。

PI3Kδ阻害薬パルサクリシブ

INCB050465          Parsaclisib内服、PI3K阻害剤原発性温式自己免疫性溶血性貧血第Ⅲ相2021/09/022024/06/30
INCB050465          Parsaclisib内服、PI3K阻害剤原発性及び二次性骨髄線維症(MF)を有する患者の治療第Ⅲ相2021/01/022026/02/28
INCB050465          Parsaclisib内服、PI3K阻害剤原発性及び二次性骨髄線維症(MF)を有する患者の治療第Ⅲ相2021/01/022025/08/31
INCB050465          Parsaclisib内服、PI3K阻害剤再発又は難治性の濾胞性リンパ腫第Ⅱ相2020/07/012022/10/31

次はパルサクリシブについて見ていきます。

日本の主たる治験だけ見ても4本走っていて、

・原発性温式自己免疫性溶血性貧血

・原発性及び二次性骨髄線維症(MF)

・再発又は難治性の濾胞性リンパ腫

この3つの適応を対象にした試験が確認できます。

今日は記事の中で黒山さんがハイライトされていた「原発性温式自己免疫性溶血性貧血」に絞って、情報をお届けしたいと思います。

 

まずは試験情報です。

Study of the Efficacy and Safety of Parsaclisib in Participants With Primary Warm Autoimmune Hemolytic Anemia (PATHWAY)

詳細はこちらのリンクから確認できます。

日本では10施設の登録が確認できました。

・試験開始が2022年3月15日

・予想されるプライマリー完了日が2024年8月15日

・目標登録症例数は100例です

このような情報が確認できます。

さて、どれくらいのポテンシャルがある薬なんでしょうか?

Googleで調べたらPh2のオープンラベルの結果が2022年6月のEHA(欧州血液学会)で発表されてました。

PDFリンクは以下です。

Long-Term Efficacy and Safety Results From an Ongoing Open-Label Phase 2 Study of Parsaclisib for the Treatment of Autoimmune Hemolytic Anemia 

詳しく見たい方は上記リンクからPDFをダウンロードください。

今回主要評価項目で見ているのは、ヘモグロビンの値です。

・投与後、6-12週の間でヘモグロビン値が12g/dL以上に増加した方はCR(完全奏功)

・投与後、6-12週の間でヘモグロビン値が10-12g/dLの間の方、もしくは2g/dL以上増加した方をPR (部分奏功)

と定義しています。

結果は以下です。

原発性温式自己免疫性溶血性貧血 (wAIHA) 16名の方だけに絞ってみると、

CRに達した方は50%、PRに達した方は25%

CR+PR 合計75%という結果です。

試験はCAD(寒冷凝集素症:自己免疫性溶血性貧血の一種)も含んでいたことから、ALL PatientsとwAIHAという分け方で分析が行われています。

wAIHAに良く効いたという結果ですね。

 

さて、次は安全性です。

 

グレード3以上の治療に関連した有害事象が6例(24%)に認められたそうです。

そのうち、グレード3以上好中球減少が2例以上の患者 (2例)で認められています。

全体の副作用発現率は88%。

Diarrhea(下痢)、Headache(頭痛)、Pyrexia(発熱)が各5例で、20%の発現割合となっています。

致死的な有害事象は確認されなかったようです。

以上、有効性と安全性についてでした。

 

 

有効性および安全性も無事に確認されたということで、Ph3に移ったことが、これらの結果から読み解けました。

経口薬ですし、使い勝手も良いですね。

以上の結果から、原発性温式自己免疫性溶血性貧血に対するパルサクリシブには大いに期待がもてます

この疾患、現在の標準療法はステロイドということで、それに代わる治療薬はいまのところないということなので、アンメットニーズも高いです。

Ph3完了がまだ先ではありますが、期待の新薬になりそうです。

インサイトの求人情報

さて、ここまで御覧頂いておわかり頂けた様に、期待される新薬がパイプラインにあるのが、インサイトです。

気になる求人ですが、インサイトの求人は、私は昨年の今頃にJAC Recruitmentから情報をもらっています。

当時は、ペマジールのProduct Strategyの求人でした。

特段話は進めませんでしたが、興味ある人は多いんじゃないかなと思います。

インサイトは給与も高いですし、RSUの付与もあると聞いています。

MRの求人についてですが、これは情報取ったほうが良いと思います。

ペマジールのFGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍に対する適応拡大が3月27日に確認されました。

ここから本格的にプロモーションしていくでしょうから、MRの人数は増やしていくはずです。

ただ希少がんで年に数例しか発見されないという記載も、Ansewrsの記事の中で見つけましたので、増やしたとしても数名規模かと思います。

そうなると次の大型採用はタファシタマブやパルサクリシブの上市が見えてくる2023年後半-2024年前半と予想します。

本社系の求人は、今後の新薬の上市を見据えて早めに動くでしょうから、開発、メディカル、マーケティング、コマーシャルエクセレンスなどの求人は今後活発に動いていくことが考えられます。

MRさんの求人はその次位ですかね。

アンテナを張っておくことで、良い求人に巡りあう可能性が高まりますので、ご興味ある方は情報収集されることをおすすめします。

私が昨年情報をもらったのはJAC Recruitmentですが、他にも扱っている転職エージェントはあると思います。

参考までにこういちが登録している転職エージェント一覧を掲載しておきますね。

エンワールドジャパン 製薬専門チームありです。 

JAC Recruitment 外資系案件に強みをもっています。

マイナビエージェント どちらかというと内資系案件が多い。

リクルートダイレクトスカウト 本社系案件に強い印象。

【ランスタッド】 外資系案件に強みを持っています。

【アクシスコンサルティング】コンサルティング会社に興味があれば、登録しておいて損はないです。特にBIG4(PwC/EY/KPMG/デロイト)とのコネクションが強く、実績を出しています。20代なら挑戦するのもおおあり!キャリアの幅がぐんと広がります。

毎回ブログの中でお伝えしていますが、その時々で求人が入ってくるエージェントが異なる印象ですので、上位に上げたうちの1-2個は登録しておくことをお勧めします。

ということで本日は以上になります。

最後までお読み頂きありがとうございました!

Twitterも行ってますので、良かったら覗いてみてください。

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