この記事を読んでわかること ・現役MRさんからの投稿 「顧客からもらった忘れられない一言とその背景」
どうも、こんにちは。
外資系製薬会社経営企画室に勤めるこういちです。
さて、本日は以下の企画で募集をした記事についてご紹介していきたいと思います。
今日は②の「製薬×転職エージェント編」になります。
熱い記事を寄稿して頂きました。
今回記事を書いて頂いたのは、MRに関するブログを運営されている”きすけさん“です。
実は私がブログを始めた初期のころからサイトを拝見していて、
MRに関する現場のリアルをいつも勉強させてもらっていました。
記事の寄稿を募集するにあたり、
きすけさんならわかりやすい良い記事を書いてくださるのではと思い、
私から連絡して、
今回記事を執筆頂きました。
改めてお礼申し上げます。
前置きはこれくらいにして、さっそく記事をご紹介していきたいと思います。
「製薬×感動エピソード」
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こんにちは、はじめまして。
外資製薬メーカーで
MRをしている”きすけ”と申します。
先に少しだけ自己紹介と、
今回、寄稿させていただく経緯についてお話させてください。
【自己紹介】
ぼくは現在30代で、MRになって十数年になります。
その辺にいるしがないMRです。
出来るMRかと聞かれたら全くそんなことはなくて、
むしろ要領が悪く、同期の中でも一番の出来損ないでした。
でも、これまでMRという仕事に育ててもらい、
長年コツコツ努力を続けたら、
いまは大学を担当させていただいたり、
チームリーダーの役職をいただいたりしています。
ぼく自身、MRとしてまだまだと思っているのですが、
一つだけ自慢できることがあります。
それは、
“MRを誰よりも楽しんでいる”
ということ。
これまでの上司からも
「お前仕事楽しそうだな―」と
モレなく言われてきました。
なのでそこだけは自信を持っています。
「MRの魅力ややりがい」については
記事の後半でも少し触れさせていただきます。
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さて、自己紹介はこの辺にして、
今回、ぼくが大リスペクトしている
製薬キャリア3.0 (こういちさん) が、
「製薬×感動エピソード」を募集されるということで、
お声がけいただき、寄稿の運びとなりました。
こういちさん、
先にお礼をお伝えさせてください。
この度はありがとうございます。
そして、いつも有益な情報をありがとうございます。
クレバーであたたかいお人柄、心底、尊敬しております。
大好きです!(大丈夫です、そっちの趣味はないです 笑 )
いくつかお題をいただいたのですが、
ぼくからは、
「顧客からもらった忘れられない一言とその背景」について
「これからMRを目指している学生さんや転職の方」へ向けて、
これまで担当したDrからいただいた
“忘れられない一言”に関するエピソードを2つ、
お話させていただこうと思います。
見出しをつけるとこんな感じです。
AGENDA
1、医師が薬を使うときに考えること
2、MRに大切なのは”〇〇力”
3、MRの魅力とは?
それではこのまま少しお付き合いください。
医師が薬を使うときに考えること
もう調べた方ならご存知かと思いますが、
MRは医薬情報担当者で、
「厳密には営業ではない」とされています。
ただ、リアルなところを
現役MRの立場から言わせてください。
結論、MRも”営業”です。
なぜなら、計画もありますし、
上司から数字の追求もあります。
ぼくもMR十数年やっていますが、
常に数字に追われる日々を過ごしています。
(大変そう…)と思われた方も
いらっしゃるかもしれませんが、
大丈夫です。
最初は苦労することも少なくありませんが、
徐々に経験と知識が積み上がり、
成果が出てくる頃には少しずつ楽しさも感じられます。
そして、MRも営業なので、
活躍するためには、
Drに自社医薬品を処方していただき、
成績を上げる必要があります。
もちろん、高い倫理観のもと
適正な患者さんに自社医薬品を
使っていただく範囲で。
それでは、
「Drは薬剤選択をするとき、何を基準に考えるか?」
あなたはどんな風に考えますか?
経験上、
ぼくはこんな風に考えています。
“Drが薬剤選択する基準”
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「製品の特性」
→ その患者さんに適しているから使う
「処方経験」
→使い慣れた薬だから使う
「ガイドライン」
→エビデンスレベルや推奨度が高いから使う
「口コミ」
→〇〇先生が良いと言っていたから使う
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ザッとこんなところです。
「では、”MR”は
医師の処方に影響を与えるか?」
そんな問いに対する一つの答えが、
これから紹介するDrの言葉です。
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まずDrの紹介を簡単にさせていただくと
新人のときに担当していた
内科クリニックの院長。
年齢は60代なかば。
めちゃくちゃ厳しい先生で、
いつも忙しそうでピリピリ。
製品や疾患の質問に答えられないと、
「話にならん。出直してこい!」
と怒鳴られて追い返されるほど
エリアのMRの中では、
「鬼の〇〇Dr」「若手の登竜門」
などと言われ、恐れられていました。
ぼくも毎週、
「今日は何を怒られるんだ…」と
震えながら訪問していたのを覚えています。
そんなDrからいただいた一言が
MRになって十数年経った今も忘れられません。
・・・鬼Drの圧にも耐性が出来始めた
担当3年目のころ
どうしても
お使いいただきたい新薬があり、
毎週通って、何度も紹介して、
ようやく採用いただいたときに
かけてもらった言葉です。
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「医者が薬を使うときはさ、
もちろん、
効果と安全性のバランスはどうだ?とか
ガイドラインで推奨されているか?とか
いろいろあるんだけど、
それと同じくらい、
MRの顔が浮かぶもの。
患者さんを前にしたときに
MRの顔と製品が
セットで浮かんでくる。
そしてそこに熱心に話された
製品のメッセージがのっかってくる
ぼくはこういうケースは少なくないよ。
今回もそう。
君は熱心だったね。
だから、ほかのところでも
熱心にやりなさい。」
———————————
これまでの努力が報われる
ありがたい言葉でした。
当時は、少し慣れてきたせいか、
どこかMRの存在意義にも疑問を感じていて、
「結局、MRじゃなくて、
”製品力”で勝負は決まるのでは?」
などという冷めた考えも
芽生え始めたころでしたが、
それを一掃させてくれたのが
このDrの一言でした。
製品のデータや
ガイドラインももちろん大切ですが、
MRが行う情報提供やそれに乗せる熱意も
Drの処方を決める立派な要因になり得ます。
「薬を使うときは、
MRの顔と製品がセットで思い浮かぶもの」
MRに大切なのは”〇〇力”
ぼくは外資系企業につとめているせいか、
社内では「英語をやりなさい」と常日頃言われており、
昇進の条件になっていたりするので、
やむなく勉強は続けています。
そんなとき、
大学の担当する教授と講演会の演者随行があって
ゆっくりお話する機会がありました。
(※随行とは、移動中アテンドしたり、講演のサポートをしたりすることです)
その教授は、その領域では全国的に有名なKOL
お人柄も紳士で素晴らしいDrです。
KOL
Key Opinion Leader(キーオピニオンリーダー)の略称。
製薬企業の販売促進に影響力を持つ医師などの専門家のこと。インフルエンサー(大きな影響力を持つ人)と呼ばれることもある。
病気に対する見解や薬物使用の判断は個々の医師によって違うため、患者の治療効果には差が現れることも少なくない。KOLが適切な治療方針を示すことが、現場で働く医師たちに大きな影響を持つため、KOLには他の医師たちに最新の製薬情報を普及させるプロモーターの役割が期待されている。そのため、KOLとなる医師の選定は製薬企業にとって重要なポイントである。また、医薬品申請時にもKOLの見解は重視される。Answersの記事より抜粋
KOLへの働きかけが大事である一方、次世代のKOL候補であるYOL(Young Opinion Leader)との関係構築も製薬企業にとっては重要なマターである。
タクシーで移動中、教授から
こんな質問を受けました。
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教授「きすけくんは、会社で将来どうしたいの?」
ぼく『本社などは絶対向いていないので、
このまま現場で
経験を積まさせていただき、
所長を目指しています。
でもそのためには、
TOEICの点数をとらなきゃ
いけないんです。』
と社内事情ふくめ
正直な今後の展望をお伝えしました。
すると、教授は驚いた様子でこうおっしゃいました。
教授「えっ、
会社はTOEICの点数を求めてるの?
それ、相当的外れですよ。
外人と会議とかするの?
(所長はしないですね)
でしょ。
しないでしょ。
なんかズレてると思うなぁ。
MRさんも所長さんも、
TOEICの点数より、
営業なら”共感力”を磨きなさい。
僕もいろいろな人と会うけど、
年々、共感力に欠けた人が
増えてる気がする。
MRさんや所長もそうだけど、
けっこうメディカルに多いんだ。
偉そうにデータとか紹介してくるけど、
そんなの、
あなたよりよっぽど知ってるから。
こっちは毎日、文献を読んでいるし、
海外の学会で最新のことも学んでいる。
なにかを偉そうに教えてもらう筋合いはない。
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「MRならTOEICよりも”共感力”を磨きなさい。」
ぼくはこれを聞いて驚きました。
教授がMRやメディカルに対して、
“共感力”を求めていることを…
なぜなら、わりとサバサバしていて
そんなタイプには見えなかったから
でも、裏を返すと、きっと昔に比べて、
MRも接待などがなくなったり、
仕事のスタイルも大きく変わって、
その辺の力(共感力や配慮)を磨く場面が
ずいぶんと減っているのだと思います。
そこに対する教授からの苦言。
ここはしっかり受け止めなくてはと
身が引き締まりました。
MRは、もちろん
製品や疾患の知識を付けたり、
ときに英語の研鑽も大切ですが、
それよりもっと大切なのが、
“共感力をはじめとする人間力”
(他には、”誠実さ”や”配慮”などが含まれると思います)
ここがなんといっても土台になります。
これらはある日突然、
身に付くものではありません。
日々の生活から。
まずは身近な人から。
ぼくもいくつか本で
学びを得ているのですが、
共感力を磨くという点では、
D・カーネギーの「人を動かす」
という本が素晴らしく、
MRになって十数年経ちますが、
今も度々読み返しており、とてもオススメです。
「MRは”共感力”を磨きなさい。」
僕は、教授からいただいたこの言葉を
今後も大切にしたいし、
これからMRを目指される方にも
ぜひ胸にしまっておいて欲しい言葉の一つです。
MRの魅力とは?
最後に、”MRの魅力”についても
自身の考えをお伝えさせてください。
ちなみに就活生のころ、
MRに対して、このように考えていました。
——————
・「MRって給料高くてすごいな。」
・「休みもしっかりあってホワイトらしい」
・「ただ、仕事は大変そう・・・」
・「Dr相手とか緊張するな。」
・「医療への貢献は本当に出来るのだろうか?」
——————-
当時のこの疑問に対しては、
MRを十数年経験するなかで
答え合わせと言語化がある程度完了しています。
まず、「給料や休み」について
ここについては、
もう十分すぎるほど恵まれています。
きっと調べられたとおりです。
MRはもちろん大変さもありますが、
高い給料と、豊富な手当、
たくさんの休みがあり、
“報われ感”のある仕事です。
「じゃあ、医療への貢献は?」
ここについてはこう考えています。
MRは、間接的ではありますが、
医療に貢献できると考えます。
なぜなら、
医師の診療に影響を与えるから。
MRの情報提供がきっかけで
Drの処方意向が変わったり、
MRが企画した講演会で、
疾患啓蒙や製品の浸透が進み、
患者さんのアウトカムに
影響を与えることさえあります。
近年では、
地域医療の視点をもったMRでは
さらにその活躍の幅を広げている印象です。
ぼくもDrから、
自社品をお使いいただいた患者さんが
「良くなったよ」いうお話を聞くと、
この上ないやりがいを感じます。
また、Drは一流の方が多いです。
品があって、タフで優しい。
なので、Drから人生で大切なことを学べるのも
MRの大きな魅力・メリットだと感じます。
これらのやりがいから、
ぼくはMRになって十数年が経ちますが、
いまも相変わらず楽しいですし、
これからもできる限り続けて行きたいなと思っています。
最後に今回のお話をまとめます。
本記事の内容がこれからMRを目指される方に
少しでも参考になると嬉しいです。
また今回、このような寄稿の機会をいただきました、
製薬キャリア3.0 (こういちさん) には、改めてお礼申し上げます。
最後までお付き合いいただき、
ありがとうございました!
こういちの感想
きすけさん、まずは文章を寄稿して頂き、誠にありがとうございました。
私もMR時代やMSL時代に
顧客である医師から似たような言葉を掛けてもらったことがあり、
その時の経験が頭をよぎりました。
そのあたりについてはまた今度、詳しくブログでお伝えしたいと思います。
きすけさんの記事を拝見して強く感じたことは
「顧客はよく見てる」
ってことです。
たぶん、我々が思っている以上に、
私たちの顧客である医師は私たちの行動、使う言葉、所作、振る舞い、メールでの言葉遣い、
をよく見てます。
別に注意深く観察しているとか、
意識的に見ているということではなく、
「よく見ている」=「(無意識に)感じ取っている」という表現のほうが正しいかもしれません。
その意味で、
その文脈で、
きすけさんが書かれている
・熱意
・共感力
というのは、
顧客との信頼関係を構築するうえで、
非常に重要な要素になると感じました。
今回、きすけさんの記事を読んで、その部分を一番強く感じました。
MRの仕事は泥臭い仕事も多いですし、
昔(今も?)は廊下での待ち時間も長くて、
全然きれいごとばかりではないですよね。
たぶん、「思っていた仕事と違う!」と感じている方も中にはいらっしゃるのではと思います。
一方で、
・MRは楽過ぎる
・日報だけ打っていれば営業したことになる
・ゴマすり営業
など、MRの方たちが自分達自身を卑下するような文言をTwitterでたまに見かけたりします。
でもね、
そんなことばかりじゃないです。
リアルはそんなに甘くないし、
舐めた姿勢で仕事をしているといつか痛い目にあいます。
顧客と信頼関係を結ぶには、やはり物事に対する姿勢はとても重要です。
真面目に仕事をしている人はたくさんいて、
熱意を持って、MRをしている方もたくさんいます。
尊敬できる方もたくさんいます。
きすけさんもその一人です。
そういった部分で、今回寄稿頂いた記事は重要な学びを私たちに与えてくれていると感じました。
MRを目指すならまずは情報収集から
今回の寄稿の記事を読んで
他業種の方で
「MRの仕事っていいな」
と思われた方もいると思います。
私もまた営業に戻るなら
・薬の営業
・医療機器の営業
このどちらかが良いなと思ってます。
さて、いまMR未経験でMRを目指すなら、
・CSOのコントラクトMRになってから、製薬企業での正採用を目指す
というルートが一番実現可能性の高いルートになっています。
未経験でいきなり製薬企業のMRになるのは、相当狭き門です。
昔はね、他職種から未経験で採用するってことをたくさんしていたんですが、いまはほぼなくなってしまいました。
いま市場には早期退職をした百戦錬磨MRさんがあふれているので、コントラクトMRになることも簡単ではありません。
ただそこは、若さと年収がそこまで高くないことを武器に戦える土壌はあると思います。
そのあたりのことについて
はサポート実績があると聞いています。
ご興味ある方はぜひ情報取ってみてください。
過去にエンワールドジャパンさんとのやりとりはブログでまとめているので良かったら覗いてみてください。
過去のやりとりも含めて詳しく書いているので、良かったら参考にしてくださると嬉しいです。
ということで本日の内容は以上になります。
最後に、改めましてきすけさんに感謝申し上げたいと思います。
文章も読みやすくて、
さすが長年ブログを運用されているだけあるなと思いました。
そちらの面でも大変勉強になりました。
最後にきすけさんのブログを紹介して、この記事を締めくくりたいと思います。
本当にありがとうございました!
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