外資系製薬会社経営企画室こういちの注目の外資系バイオベンチャー。イプセン。米国で2023年8月に承認「Sohonos」(palovarotene)について調べてみました。

製薬会社の将来を考える
この記事を読んでわかること
・イプセンについて
・「Sohonos」(palovarotene)の日本の開発状況

どうも、こんにちは。

外資系製薬会社経営企画室に勤めるこうちいです。

9月も、もう中旬ですね。

いやはや、時が経つのは早いです。

 

 

さて、今日はイプセンついてお届けしていきたいと思います。

 

 

フランスの巨大企業ですが、

日本進出は2021年とまだ日が浅い外資系製薬会社です。 

 

これから日本での規模拡大が来るかもしれないなーと睨んでいるので、

今日はそのあたりについてみなさんに情報共有していきたいと思います。

 

イプセン(Ipsen)について

フランスの製薬会社です。

日本語のホームページは残念ながらありません。

Globalホームページはこちらです。

Ipsen – improving patient health outcomes
Ipsen is a global biopharmaceutical company, improving patients’ lives through research and innovation in oncology, rare disease & neuroscience.

イプセンはフランスの製薬会社です。

フランスでは超有名な企業です。

1929年設立と歴史もありますからね。

Wikiの情報で失礼しますが、以下のような情報を見つけたので、ご紹介します。

イプセンフランス語: Ipsen S.A.)は、フランスパリに本社を置き、世界20カ国以上に拠点を持つ製薬企業である[1]。主に腫瘍内分泌、神経筋障害の処置に使用される薬品を開発し販売している[1]

ユーロネクスト・パリに上場している[1]。”

“世界的な専門志向製薬会社として2012年の総売上高は12億ユーロを超えている。

標的型衰弱性疾患に対する特別な治療ソリューションをけん引することを目標としており、神経と内分泌と泌尿器腫瘍の3分野で開発戦略を取っている。

さらに、グループで積極的な提携方針を取っており、イプセンの研究開発ではペプチドと毒素に関する革新的かつ差別化された技術プラットフォームに力を入れている。

フランスで42番めに資産を持つ家族であるビューフォー家が、持株会社のMayroy S.A.を通じて68%の株を所有しており、一家のアンネとヘンリは取締役を務めている[2][3][4]国際財務報告基準によれば、2012年は研究開発だけで総売上高の20%にあたる2億5千万ユーロを費やしているとされる。

種類上場企業 (Euronext: IPN )
業種医薬品
設立1929年 (94年前)
本社フランスの旗 フランス・パリ
主要人物デイビット・レーヴ(CEO
製品標的型治療分野 : 腫瘍内分泌、神経筋障害一次医療処置 (主にフランス国内): 消化器認知障害心循環系
売上高2,500,000,000 ユーロ (2020年) 
利益610,500,000 ユーロ (2020年) 
従業員数4,900人
ウェブサイトwww.ipsen.com ウィキデータを編集
Wikipedia/イプセン

 

中堅のGlobal製薬会社といったところでしょうか。

2020年の売上高は約25億ユーロ。

日本円を仮に1ユーロ150円とすると、

約3750億円の売上を誇る製薬企業です。

 

 

ちなみに日本の法人の設立は2021年8月です。

数人、Linkedinで人を見つけることが出来ます。

 

  

日本の代表は2023年9月現在、Kurt Rimkusさんという方のようです。

ネットに情報が落ちてました。

Kurt Rimkus email address & phone number | Ipsen President and Country Lead Japan contact information - RocketReach
Get Kurt Rimkus's email address (k******@ipsen.com) and phone number (+81 90-2226-....) at RocketReach. Get 5 free searches.
  • President and Country Lead Japan @ Ipsen
  • Founder @ Ideas Change Everything
  • Visiting Associate Professor @ Chiba University, Medical School

数々の要職を歴任されてきた方ですね。

アミカスの元社長さんでもあるようです。

 

これから日本で規模を拡大するのでしょうか?

今後に注目です。

イプセンが日本でもPh3を行っている「Sohonos」(palovarotene)について

 

そもそもイプセンを調べようと思ったのは、この「Sohonos」(palovarotene)があったからです。

 

愛読させてもらっている海外新薬承認情報(2023年8月分) | AnswersNewsに以下の情報を見つけたことがきっかけです。

Sohonos 仏イプセン

「Sohonos」(palovarotene)は、進行性骨化性線維異形成症(FOP)の治療に使用されるレチノイド。

骨組織が存在しない筋や筋膜などに異常な骨が形成されるのを抑制します。

FOP患者は世界に900人いるとされ、うち400人が米国の患者と推定されます。

日本でもFOPを対象とするP3試験が進行中です。

海外新薬承認情報(2023年8月分) | AnswersNews

日本でもPh3が進行中という記載を見つけて興味が沸きました。

 

この薬が2023年8月にFDAにより承認されました。

 

気になったので、元情報のプレスリリースも調べてみました。

 

それがこちら。

US FDA approves Ipsen’s Sohonos™ (palovarotene) capsules, the first and only treatment for people with fibrodysplasia ossificans progressiva – United States

US FDA approves Ipsen’s Sohonos™ (palovarotene) capsules, the first and only treatment for people with fibrodysplasia ossificans progressiva

Corporate

 – 16 August 2023 – 12 mins read

  • Breakthrough treatment reduces new, abnormal bone formation in soft and connective tissues, in people living with ultra-rare bone disease, fibrodysplasia ossificans progressiva (FOP)
  • FOP impacts about 400 people in the U.S., it leads to progressive mobility loss, severely limits quality of life and shortens median life expectancy to 56 years
  • SohonosTM may be prescribed immediately in the U.S. for eligible patients, aged 8 years and older for females and 10 years and older for males

 

 

(日本語訳)

 

米国 FDA が Ipsen の Sohonos™ (パロバロテン) カプセルを承認、進行性骨化性線維異形成症患者に対する最初で唯一の治療法
コーポレート – 16 8月 2023 – 12 mins read

  • 超希少な骨疾患である進行性骨化性線維異形成症(FOP)の患者において、軟部組織や結合組織における新たな異常骨形成を抑制する画期的な治療薬
  • 進行性骨化性線維異形成症(FOP)は、米国で約400人が罹患しており、進行性の運動機能低下を引き起こし、生活の質を著しく制限し、平均余命を56歳まで縮める。
  • Sohonos™は、米国において、女性は8歳以上、男性は10歳以上の対象患者に直ちに処方することができる。
Ipsen press-release 2023年8月16日

 

 

米国であっても400人。

 

ウルトラレアに該当しそうな患者数ですね。 

 

さて、この薬が日本でもPh3を実施中ということで、大変興味を持ちました。

 

さて、ここからはPh3が進行している新薬について見ていきます。

「Sohonos」(palovarotene)のPh3試験

 

Ph3試験の治験情報はこちらです。

An Efficacy and Safety Study of Palovarotene for the Treatment of Fibrodysplasia Ossificans Progressiva. (MOVE)

MOVE試験と命名されているようです。

 

日本は東京大学1施設が治験施設として登録されています。

 

ちなみにPh1の試験結果が公表されていますが、東京大学の先生がsecond authorに名前があります。

A Pharmacokinetic, Safety, and Tolerability Trial of Palovarotene in Healthy Japanese and Non-Japanese Participants

 

後ほどPh3の結果の論文も紹介しますが、そこにも同じAuthorの名前がありました。

東京大学の芳賀信彦先生です。

東京大学, 医学部附属病院・リハビリテーション部, 元教授で、

現在は、 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)の総長です。 

過去Medical Noteに、この病気のことについて、記事を執筆されています。

筋肉や靭帯に骨化が起こる進行性骨化性線維異形成症(FOP)とは?

 

 

この方がGlobal KOLですね。

 

 

 

 

さて、そもそもこの病気のことがよくわからないので、調べてみることにしました。

進行性骨化性線維異形成症(FOP)(指定難病272) 

”1.「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」とは

進行性骨化性線維異形成症(FOP)は、骨系統疾患と呼ばれる全身の骨や軟骨の病気の1つです。

子供の頃から全身の筋肉やその周囲の膜、腱、靭帯などが徐々に硬くなって骨に変わり、このため手足の関節の動く範囲が狭くなったり、背中が変形したりする病気です。

生まれつき足の親指が短く曲がっていることが多いという特徴があります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

外国では人口200万人に対して1人の患者さんがいると言われています。

日本における患者さんの数は不明ですが、研究班の調査から、日本における患者数を60~84名と推計しています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

この病気は特定の国や地域に多いという傾向はなく、世界中でほぼ一定の割合の患者さんがいると考えられています。

またこの病気になりやすいという特別な体質などはないと考えられています。

4. この病気の原因はわかっているのですか

この病気の原因は、ACVR1(別名ALK2)と呼ばれる遺伝子の一部が正常と異なることであることが分かっています。

ALK2はBMPと呼ばれる骨形成因子の信号を細胞内に伝達する受容体であり、ACVR1遺伝子の変異がどのようにして病気を引き起こすかについては研究が進んできています”

進行性骨化性線維異形成症(FOP)(指定難病272) 

 

患者数は日本全国でも100名以下ということで、超希少疾患の部類ですね。

確立された治療法はないということで、新薬の登場が待ち望まれている領域だということがわかります。

 

  

そこで登場したので、 「Sohonos」(palovarotene)です。

日本語だと「ソホノス」(パロバロテン)って読むんですかね?

 

 

アメリカで承認されたのでPh3の試験結果が公表されているだろうなと思って調べたら、やはりありました。

それがこちら

Reduction of New Heterotopic Ossification (HO) in the Open-Label, Phase 3 MOVE Trial of Palovarotene for Fibrodysplasia Ossificans Progressiva (FOP)

 

上記リンクからPDFのダウンロードができますので、結果を確認することができます。

 

詳細を知りたい方はPDFをご覧ください。

 

RWDで得られたヒストリカルコントロール群との有効性比較という点がユニークな試験だと感じました。

 

進行性の異所性骨化(heterotopic ossification:HO)の新規体積の変化量を主要エンドポイントにおいた試験です。

 

治療しなかった群に比べ、「ソホノス」(パロバロテン)投与群の年間新規発症異所性骨化の体積が少なかったことが認められ、まずはFDAで無事承認を取得しました。

 

 

そうなると、次に気になるのは、日本の承認見込み時期ですよね。

 

そこについては探しましたが、情報がヒットしませんでした。

 

株主向け資料も見てみたのですが、そういう記載を見つけることが出来ませんでした。

 

でもそう遠くない未来だと思います。

 

データは出ているので、あとは申請する段階。

 

2024年に申請されれば、2025年に発売することが予想されます。

 

 

イプセンのパイプライン

 

ここまで「ソホノス」(パロバロテン)を中心にお話をしてきました。

 

ここからはパイプライン情報です。

どんなパイプラインがあるか見ていきます。

株主向け資料にきれいにまとまっているものを見つけました。

Ipsen-investor-presentation-September-2023

 

2023年9月に公表されていたものです。 

 

・オンコロジー

・希少疾患

・神経疾患

 

が注力領域のようですね。

 

全部は紹介しきれないので、

日本でこれから動きそうなものをリサーチしました。

JRCT(臨床研究等提出・公開システム)でIpsenを調べると以下の試験のみヒットしました。

 

 

男女の進行性骨化性線維異形成症の小児患者と成人患者を対象としてfidrisertib(IPN60130) を 2 種類の用法・用量で経口投与したときの有効性及び安全性を評価する第 II 相試験

 

「ソホノス」(パロバロテン)と同じ、FOPを対象疾患にした新薬のPh2試験がヒットしました。 

 

Fidrisertibという薬です。

 

 

それ以外の薬についてはJRCTでIpsenを調べてもヒットしませんでした。

 

 

開発母体がないので、他の薬剤の日本での試験の組み入れは進んでいないのかもしれません。

 

 

イプセンの日本での今後を予想

憶測でしかないですが、

いまあるパイプラインや開発状況を踏まえると、

規模拡大までにはまだ時間が掛かると予想しています。 

 

ただ進行性骨化性線維異形成症(FOP)の新薬である「ソホノス」(パロバロテン)は近い将来日本でも発売されるのではと予想します。

申請は2024-2025年

発売は2025年-2026年

 

あたりではと予想します。

 

(あくまで私の独断と偏見による予想ですので、情報の取り扱いにはご配慮ください。)

 

日本での患者数は100人未満なので、MRの大量採用は考えにくいです。

 

 

マーケティング担当者と営業担当者が兼任のパターンかもしれません。

 

 

それくらいの規模感の患者数ですからね。

 

 

ただ発売準備はしなければいけないと思いますので、いくつかのポジションで小規模採用が進む可能性が考えられます。

 

 

 

こういう立ち上げ系でよく話を持ってきてくれるのが

JAC Recruitment 

【ランスタッド】

この2社です。

 

まだ具体的にIpsenの案件の話を聞いたことはないですが、

もしかすると動きがあるかもしれません。

興味のある方は情報探ってみてください。

 

 

この2社については過去ブログに情報をまとめてます。

 

良かったら、ご覧になってください。

 

 

 

ということで本日は以上です。

今日はIpsenについて調べた情報をまとめました。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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