この記事を読んでわかること ・ドラッグロスについてこういちの感じたこと
どうもこんにちは、外資系製薬会社経営企画室に勤めるこういちです。
7月5日に中医協薬価専門部会が開催されました。
そして7月6日には、その様子がミクスでも公開されました。
今日はこれらを読んで、こういちが感じたことをみなさんにも共有したいと思います。
想いのたけを書いているだけなので、役に立つ内容ではないかもしれませんが、どなたかの共感を得ることができたら嬉しく思います。
あえてブログということで、くだけた表現もありますが、ご容赦ください。
ドラッグロスに関して

ドラッグロスに関しては、色んな問題(薬価抑制策、薬事承認制度、日本の治験の複雑性などなど)が複合的に絡み合っていると思っています。
簡単に”原因はこれだ!”と述べることは難しいです。
そのうえで、薬価制度に関する私見と、ドラッグロスに関する私見を述べていきます。
薬価制度に対する私見
製薬業界は”薬価制度”の改善を要望していますね。
これは私も問題視していて、Twitterでも時々コメントしています。
市場拡大再算定や、市場拡大再算定に伴う類似薬の共連れルールについては、ちょっとやりすぎじゃない?と感じてます。
EFPIA(欧州製薬団体連合会)の岩谷会長も
『例えば再算定と“共連れ”につきましては自分たちで把握をしていない他社の営業成績によって、ある日突然あなたの薬も共連れですと言われる。これも大変予見性が低いというふうに認識をしております』
とコメントされています。
はい、私も同様の認識です。
製薬業界側は「迅速導入評価制度」を新たに提案し、なんとか打開策を計ろうとしていますね。
「基本的にはドラッグ・ラグ/ロスを生じている理由は、各品目によって異なるが、大きくは薬事制度、そして薬価制度によるものだ。
薬価制度についての解決方法で重要な点は、革新的新薬を日本に迅速に導入する仕組みと、革新的新薬の薬価を維持する仕組み、この2つの仕組みをセットで取り入れる必要がある」-。
製薬協の上野会長は、こう述べ、理解を求めた。
提案したのは、革新的な医薬品を国内に迅速導入した場合の薬価上の評価として、「迅速導入評価制度」の創設だ。収載時の価格設定として、革新性が高く、類似薬の選定が困難な場合には臨床的位置づけなど医療実態を考慮した柔軟な類似薬を選定し、収載後には薬価を維持するというもの。
ただし、ガイドラインで臨床上の位置づけが明確になった場合には薬価を見直すとした。
これにより、モダリティが低分化合物から抗体、さらには核酸医薬、再生・細胞医療などとシフトする中で、「多様化する革新的医薬品の特性に応じた柔軟な価格評価にも将来的にはつながっていくものと考える」と上野会長は説明した。
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=75036 2023年7月6日 ミクスオンライン
こういった提案は私も良いと思っています。
議事録を読むと、国側は必ずしも前向きに捉えている感じはありませんが、薬価制度が改善に向かう方向に動いてくれればいいなと思います。
国の財政が厳しいことは百も承知ですが、少なくとも「売れたら価格を下げる」という経済の論理を損ねるようなことはしてほしくないわけです。
そりゃあ、他の国からしたら魅力を感じない市場になります。
ドラッグロスに関する私見
今日コメントしたかった中心はこの部分です。
凄く感じたのは
『日本の製薬各社が国内未発売の未承認薬を呼び込む努力をしているか?100%できてる?』
ということです。
「アメリカでは発売されている薬がたくさんある、でも日本では未承認薬というものが数多くある、これは問題だ。これは薬価制度が改悪されているから、外国企業が参入しにくくなっているんだ!」
これが製薬会社側の論理ですよね。
理解できますし、言っていることは間違っていないと思います。
一方で、じゃあ呼び込む努力をどれだけできているのか?
私は今回ここを強く感じました。
自省の意味も込めてます。
・自分たちが日本で発売したい薬を開発している企業に適切にアプローチ出来ているか?
この問いに対して、事業開発担当者やR&Dの開発担当者は今一度振り返るタイミングかもしれません。
100%出来ていると言えないのではと思います。
また外資系企業では、ある治療薬に関して、日本が開発の対象国から外れてしまっているケースがあると思います。
これ知らないところで、日本が勝手に外されていることもあると感じてます。
これは日本のプレゼンスの問題。
言語の問題もあるんでしょう。
こういうことをね、防ぎたいわけです。
そして、能動的に海外企業や自社のGlobal組織ににアプローチして、日本に新薬を呼び込みたいと考えています。
これがね、まだ100点ではないです。
これは自戒の念を込めてます。
ここからは私自身の反省です。
『私自身が国内未発売の未承認薬を呼び込む努力を100点満点で出来ているか?』
全然100点ではないです。
外資系製薬会社での経験しかありませんが、これまでの経験を振り返ると、呼び込むという部分、日本のプレゼンスを主張していくという部分はまだまだ私自身、改善が必要だと認識しています。
つまり、日本のGlobalに対する影響力が弱い結果として、ドラッグロスやドラッグラグに繋がる事象が起きているということです。
例をあげると
・日本がスコープに入っていない試験が突如動き始めた。
・知らない開発品がGlobalのパイプラインリストに載っている。
・コミュニケーション不足により、Ph3に日本が遅れて参入することになった。
・Ph3実施前に適切な日本のインプットができなかった。
こんなことを過去経験してきています。
もちろん私だけの責任ではありませんが、経営企画室の一人として、責任の一端は担っていると自覚しています。
例えば開発側にアラートを出したり、Global担当者と密にコミュニケーションを取ったりしていれば、こういった事象は未然に防ぐことが出来たかもしれません。
自省の念を込めて書いてますが、こういうことが起きないように日本側で工夫しないといけないと思ってます。
・Global担当者と密に連絡を取り合って、日本で治療薬が適切なタイミングで上市されるように働きかけを行うこと。
・どうしても日本で発売したい未承認薬があるのであれば、その企業へのアプローチを日本単独だっていいから試みること。
こういったことをもっともっと能動的に実施する必要があるなと、今回のミクスの記事を読んで強く感じました。
大変な交渉ではあるかもしれませんが、こういうことを積み重ねないと状況は改善しないだろうと思います。
薬価制度が変われば、未承認薬がバンバン入ってくる状態になるとは思えないのです。
そりゃ、薬価制度に魅力があれば、海外からの問い合わせは増えるかもしれませんが、やはりこちらから働きかけを行う必要はあるだろうなと思います。
なので、もっともっと日本は自分たちから能動的に働きかけなきゃいけないんです。
最後に

ドラッグロスは本当に深刻な問題です。
治療薬はあるのに、住んでいる場所が違うだけで、治療を受けることができない。
それで一生を左右される患者さんが確かにいます。
いまこの日本に存在します。
そういう方を実際に知ってもいます。
ですので、製薬企業に勤めるものとして、この問題とは今後もしっかり向き合っていきたいと思っています。
薬価の制度も、改善の余地はあります。
ここは議論を重ねてより日本市場が海外企業から見て、魅力のあるものにしていく必要があるでしょう。
そうすることで、新たな薬が日本に入りやすい環境が整います。
一方で、それだけでは不十分だというのが今回の私の主張です。
自分たちでも努力をしようよ、もっとGlobalに働きかけることや、未承認薬を呼び込む努力を自らやっていこうよ、
という部分。まだやれることはあると思っています。
私自身、全然足りてないので、想いを新たにしたいと思います。
ここを強調して、今日のブログを締めくくりたいと思います。
今日のブログは自戒の念もこめてつらつらと書きました。
ということで本日は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございました!
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