ファイザー社が買収したシージェン(Seagen)社のポテンシャルを調べてみた。パイプラインは超魅力的。日本に進出してほしいと思っていたので、ちょっと残念。外資系製薬会社経営企画室こういちの製薬時事分析。

製薬会社の将来を考える
この記事を読んでわかること
・シージェン(Seagen)社のポテンシャル

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こんにちは、外資系製薬会社経営企画室に勤めるこういちです。

3月13日、ファイザーによるシージェン(Seagen)社の買収話が飛び込んできました。

オンコロジーに特化したシージェン(Seagen)をファイザーが買収しました。

プレスリリースはこちら

Pfizer Invests $43 Billion to Battle Cancer 

「がんに打ち勝つためにファイザーは430億ドルを投資した」

というタイトルでプレスリリースが出たことが印象的でした。

買収額は430億ドル。

1$100円換算でも、4兆3000億円!($はもっと高いから実際はこれ以上)

シージェン(Seagen)のポテンシャルに興味が沸いたので、調べたことを皆さんにもシェアします。

シージェン(Seagen)のポテンシャル

なぜファイザーがシージェン(Seagen)に興味を持ったのか?

Evaluate が2023年2月28日に記事を出しています。

Why Pfizer (and others) will be interested in Seagen | Evaluate 

これを見れば、納得される方も多いと思います。

非常に早く成長が見込めるオンコロジーの治療薬として、Seagenの持つ2剤(PadcevとTukysa)がTOP10入りしています。

Padcevの2028年の売上予測は3.3 billion $ (1$100円換算で3300億円)

Tukysaの2028年の売上予測は1.6 billion $ (1$100円換算で1600億円)

いずれもブロックバスターですね。

こういった有望な薬剤が見込めるため、ファイザーも買収に踏み切ったのでしょう。

ブロックバスター候補のPadcevとTukysa

Padcev

一般名:Enfortumab vedotin-ejfv

発売されている適応症:切除不能な局所進行性または転移性尿路上皮がんで、シスプラチン不適応の患者における一次治療

開発が進んでいる適応症:

(引用:2023年3月14日時点 https://www.seagen.com/science/pipeline )

  • 1L 未治療の局所進行または転移性尿路上皮がん(Ph3)
  • 周術期筋層浸潤性膀胱がん(Ph3)
  • 周術期筋層浸潤性膀胱がん(Ph3)
  • 局所進行または悪性転移のある固形腫瘍(Ph2)
  • 局所進行性または転移性の尿路上皮がん(Ph2)
  • 周術期筋層浸潤性膀胱がん(Ph1)
  • BCG未反応の非筋肉浸潤性膀胱がん(Ph1)

数が多いですね。

日本ではアステラス製薬が共同開発を行っているようです。

抗体-薬物複合体 PADCEV®(エンホルツマブ ベドチン) 進行性尿路上皮がんを対象 

繰り返しますが、Padcevの2028年の売上予測は3.3 billion $ (1$100円換算で3300億円)です。

これら多くの適応症でこの売上を狙っていることが読み解けます。

Tukysa

一般名:Tucatinib

発売されている適応症:

  • ①脳転移を有する患者を含む、切除不能または転移性の進行性HER2陽性乳がんの成人患者であって、転移設定において1つ以上の抗HER2ベースのレジメンを過去に受けた患者の治療に対するトラスツズマブおよびカペシタビンとの併用療法。
  • ②フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンをベースとした化学療法による治療後に進行したRAS野生型、HER2陽性の切除不能または転移性の結腸直腸癌の成人患者に対するトラスツズマブとの併用治療。

開発されている適応症:

(引用:2023年3月14日時点 https://www.seagen.com/science/pipeline )

  • 1L/2L 転移性HER2+乳がん(Ph3)
  • ハイリスクHER2+乳癌の術後補助療法(Ph3)
  • 1L維持 HER2+転移性乳がん(Ph3)
  • 1L HER2+転移性結腸直腸癌(Ph3)
  • 2L HER2+ 転移性乳がん(Ph2)
  • R/R HER2+の転移性結腸・直腸癌(Ph2)
  • 2L HER2+胃食道がん(Ph2)
  • 転移性固形がん HER2遺伝子変異(Ph2)
  • 1L HER2+の転移性消化器がん(Ph1)

これまた凄い数。

こちらも繰り返しますが、Tukysaの2028年の売上予測は1.6 billion $ (1$100円換算で1600億円)です。

これらの開発でこの売上を狙っていくことが読み解けます。

豊富なオンコロジーパイプライン

(引用:Pipeline.pdf  2023年3月14時点)

上記に解説した2剤に加え、それ以外でも非常に多くの薬剤が開発されていることが一目で御覧頂けるかと思います。

数が多すぎる、、、なので詳しく述べることはしません.

ごめんなさい。詳しく見たい人はPDFをダウンロードしてください。

開発品も魅力たっぷりということでファイザーさんに買収されてしまいました。

パイプラインを調べて、納得の買収でした。

今回の買収についてこういちが思うこと

買われてしまったかー!!というのが率直な感想です。

これだけのパイプラインを持っている会社でしたので、秘かに注目してました。

いまはアステラス(PADCEVで提携)や武田薬品(アドセトリスで提携)と提携しているけど、いつかは日本に進出してくるものと予想してました。

なのでちょっと残念に思いました。

一方でファイザーに買われたということは良い側面もあると感じています。

なぜならファイザーは日本でのプレゼンスも抜群。コマーシャルも上手。

ですので、開発がうまくいき、薬が市販されれば多くの患者さんに治療薬が届くことになります。

これはとても喜ばしいことですね。

泌尿器がん、消化器がん、乳がんなど、この分野でビジネスすることに生きがいを感じている方は、今回の買収をきっかけにファイザーで働くことも一つ選択肢に入ってくるのではと思います。

ファイザーの求人は、比較的多くの企業が有しています。

この間、この求人ではないですが、エンワールドジャパンからワクチンのマーケティングリードの案件紹介もありましたし、少し前には、JAC Recruitment の方から希少疾患のメディカルの求人も入ってきました。

応募はしてはいませんが、大手ということもあって、多くの転職エージェントが求人を持っている印象です。

今回のシージェン(Seagen)のパイプラインはオンコロジー部隊が扱うことになるでしょうから、興味のある方は積極的に情報取りにいったほうがよいと思います。

ブロックバスターに関わる機会はそうないですし、こういう薬には投資がバンバン入りますので色んなプロジェクトが進行します。

それこそGlobal levelで。

そうすると、仕事の幅や経験も広がることになりますので、おすすめです。

参考として、こういちが登録しているエージェント一覧を以下に載せておきますね。

求人一覧

エンワールドジャパン 製薬専門チームありです。

JAC Recruitment 外資系案件に強みをもっています。

マイナビエージェント どちらかというと内資系案件が多い。

リクルートダイレクトスカウト 本社系案件に強い印象。

【ランスタッド】 外資系案件に強みを持っています。

【アクシスコンサルティング】コンサルティング会社に興味があれば、登録しておいて損はないです。特にBIG4(PwC/EY/KPMG/デロイト)とのコネクションが強く、実績を出しています。20代なら挑戦するのもおおあり!キャリアの幅がぐんと広がります。

その時々で求人が入ってくるエージェントが異なる印象ですので、上位に上げたうちの1-2個は登録しておくことをお勧めします。

登録無料ですし、リンクから入って頂けるとブログモチベーションUPに繋がりますのでぜひお願いします☆

それでは本日は以上です。

ありがとうございました!

コメント

  1. shupq より:

    初めまして、こんにちは。
    こういち様は、ファイザーとアッヴィ
    MRとして入社する場合、どちらを選択されますか。

    • こういち より:

      ご質問ありがとうございます。どちらもパイプラインも豊富でいい会社だと思います。私がMRなら扱いたい薬がある方を選びます。
      一人一人の患者さんをフォローしていくような薬を扱える可能性が高い会社を選択するかと思います。
      そうなると、ファイザーのオンコロジー部隊か希少疾患部隊、アッヴィのオンコロジー部隊になっていくのかなと思います。

      • shupq より:

        ご返信ありがとうございます。
        1人1人の患者さんに向き合えるか、と
        自分がやりたいことは何かを考えて
        いきたいと思います。
        アドバイスありがとうございます。

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