この記事を読んでわかること ・昔の内資系製薬会社の企業文化
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どうも、こんにちは。
外資系製薬会社経営企画室につとめるこういちです。
今日は寄稿頂いた記事を紹介していきたいと思います。
先週、以下の記事で記事の寄稿を募集しました。
今回、寄稿頂いたのは、「製薬×奇天烈エピソード」です。
そんな文化があったんだなあと私も少し驚いたので、そのことを今日は皆さんにも共有させて頂きます。
記事を共有頂いたのはXアカウントのPharma marketer in Singaporeさんです。
シンガポールでマーケティングの仕事をされているすごい方です。
早速ご紹介していきますね。
製薬×奇天烈エピソード
こんにちは。
この度”製薬×奇天烈”エピソードを書かせていただく@singabusimanと申します。
新卒で内資の製薬会社に入社してMR、事業企画、マーケティングを経験後、外資の製薬に転職してマーケティング(日本)、エリアマーケティング(シンガポール)を経験して来ました。
これまでのキャリアで様々なことを経験しましたが、やはり最初の内資企業で経験したいわゆるJTC(Japanese Traditional Company:伝統的日本の大企業)のエピソードには奇天烈なものもありました。
今日はその中から例を紹介したいと思います。
“Microsoft office カースト”
これは、外国人の友人ないしは同僚から「日本の伝統的な働き方のカルチャーってやばいってほんと?」と聞かれた時によく紹介しているエピソードです。
十中八九笑ってくれます。(残りの一はドン引きです)
私はMRから社内公募システムで本社部門に入りました。
その時から当時お世話になった所長は”お前みたいに若い時に本部に行くと雑用ばかりやらされた挙句、ボロ雑巾みたいにされるんじゃないか…”と心配していました。
それくらい本部のイメージ=ブラックな職場、という時代でした。
しかし私は幸運でした。
ちょうど異動する直前に大きな社内改革があり、働き方や年功序列の風土が見直されたタイミングであり、ボロ雑巾になることはありませんでした。
しかしながら、私は当時の先輩から恐ろしいエピソードを聞くことになるのです。
それを聞いた時自分がいかに幸運であったかを思い知りました。それが”Microsoft officeカースト”です。
当時の先輩と私の会話は下記のようなものでした。
自分「本部って若い社員は雑用ばかりかと思いましたが、そうでもなくてよかったです」
先輩「お前は来たタイミングがラッキーだったよ…数年前までは使えるソフトにも制限あったからな」
自分「制限ってなんですか?」
先輩「職務等級によって使えるMicrosoft officeが違うんだよ」
自分「・・・???Microsoft officeって…あのWordとかExcelのことですか?」
先輩「そう。」
自分「それが制限されるということの意味がちょっとわからないのですが…」
先輩「平社員はExcelだけ。つまり数字の作業をするだけしかできない。そこから出世するとPowerPointを使ってプレゼン資料を作らせてもらえるようになる。さらに昇進して幹部社員になると、初めてWordの社外秘ファイル(重要会議議事録や事業計画)に関わることができるんだ」
自分「・・・・・・・・・・・????????」
この時の自分は文字通り目が点になっていたと思います。
もはや何を言われてるのかわからない状態でしたが、とりあえず一番わからなかったのは「なぜそんなことをする必要が?」でした。
なぜなら営業職は医療機関への説明会や営業所会議でPowerPointの扱いに慣れてますし、Wordも良く使います。
それが移動した途端に制限されるとは…私の頭の中は疑問符で一杯でした。
自分「あの…一体なぜそんなルールがあったのですか?」
先輩「自分もよく知らんけど、まあ情報統制と権力ピラミッドだろ。出世すれば大事な情報にアクセスして重要な仕事ができる。逆に平社員のうちは雑用だけやればいいってことだな。」
この話を聞いた時、私は異動したのが社内組織改変後で良かったと心から思いました。
全体像を共有されずに朝から夜までExcel作業と雑用をやらされる毎日…想像しただけで目眩です。
実際には、当時の上司はこのルールとは真逆で、若手にも積極的に重要な仕事を与えて評価していくスタイルでした。
本当に感謝しかありません。
この謎の仕組みは私が経験した中で最も奇天烈なエピソードの1つですが、同時に学びも与えてくれました。
まず学んだのは、単なる権力ピラミッドのために情報や仕事で制限をかけることは大きな非効率に繋がるということです。
大きな全体図を共有せず、Excelだけで仕事させられていて成長できるわけがありません。
この事例は極端ですが、職務等級に関係なく透明性を持って情報をシェアすることの大切さを学びました。
もう一つは、異論を許せる組織の大切さです。
こんなルール、初めて経験した人ならおかしいことがわかるはずです。
しかしながら、新参者や若手が異論を言いづらい同調圧力が蔓延っているとこのような異常な体質が残りやすいです。
多くの企業の不祥事には同様の背景があるように感じます。
これらの学びは現在の私の価値観形成の一部を担ったと思います。
チームを持つ上で透明性あるコミュニケーション、なるべく多くの権限移譲などを最優先としているのはこのような経験がルーツにもなっています。
いかがでしたでしょうか?
恐らく製薬企業で働く皆様なら、もっと奇天烈なエピソードがあるかもしれません…ただ、属人的なエピソードはあっても、組織的なものは少ないのではないでしょうか?
皆様にとって少しでもご笑覧いただける内容になっていれば幸いです。
こういちの感想
いかがでしたでしょうか?
私は楽しく読ませて頂きました。
いまはさすがにもう残っていない文化ということですが、ひと昔前までは存在していたルールのようですね。
私がこの記事を見た直後に感じたことは、
「THE 内資」
という言葉です。
やる意味あるの?なんで?
みたいなことがさも当然のように実行されている文化に、内資感を感じました。
すべての内資系企業にある文化だとは思いませんが、「あり得るなー」と思って、頂いた記事を眺めていました。
このエピソードを読んで、私はMR時代のことを一つ思い出しました。
それはある内資系製薬会社の「直行直帰禁止ルール」です。
・MRは必ず朝卸か営業所に行かないといけない。
・病院への訪問が終わったら必ず営業所に戻らないといけない。直帰はよほどの事情がないと不可。
こんなルールをMR全員に課している内資の製薬会社がありました。
当時、超大手と言われる内資系製薬会社です。
私はそこで働くMRさんに質問しました。
わたし「朝は卸や営業所行くより、病院行くとか出来ないんですか?」
内資MR「卸行ってないと怒られるんだよね」
わたし「夜営業所でやる仕事って家で出来ないんですか?」
内資MR「できるよ」
わたし「なんで営業所に帰らないとダメなんですかね?」
内資MR「伝統だよ」
わたし「・・・・」
こんな会話をしたことを覚えています。
その時に「THE内資」感を感じたのですが、今回寄稿頂いた内容を読んで、その時と同じ感覚を抱きました。
時代も変わり、だいぶそういった企業文化は変わってきているとは思うのですが、一方で文化が変わるのは時間が掛かります。
なのでもしかしたらこういう「THE内資」的な部分が残る製薬会社もまだあるのかあと思って、記事を拝読しました。
さて、今回、記事を寄稿頂いた@singabusimanさんにお礼申し上げたいと思います。
企業文化に関して考えるきっかけを与えてくれる素晴らしい記事だと思いました。
原体験に基づくお話は読んでいて、やはり面白みがありますね。
寄稿頂いたことにお礼申し上げます。
組織の文化に疑問を感じるならば、環境を変えるのは一つのキャリア戦略
さきほども少し述べましたが、組織の文化はそう簡単には変わりません。
システムを変えたところで簡単に変わるものではありません。
なぜならそこで働く人の根本的な考えはそう簡単には変わらないからです。
さきほど「THE内資」と表現しましたが、内資の製薬企業がすべて不思議な文化を持っているとは思いません。
外資の製薬企業の中にも不可思議なルールや文化がある企業も、きっと存在するでしょう。
多かれ少なかれ、それぞれの企業で、なんらかのユニークな組織文化は存在するかなと思います。
私が強調したいのは、「その組織文化にいる自分自身がどう考えるか?どう感じるか?」それを大切にしてほしいということです。
他人から見たら不思議な文化・習慣であっても、当事者からすれば当然の文化・習慣になっていることはたくさんあると思います。
大切なことは、その文化や習慣に対して自分がどう感じるかです。
もし疑問を感じるなら環境を変えるのは一つの選択肢だと思います。
・朝7時から夜22時までPCの前に張り付いているけど、これってどうなのかな?
・土日もバンバン、チャットが入ってくるんだけど、これってどうなのかな?
・週に3日は会社の人と夜ごはんにいって、土日も遊ぶみたいな生活なんだけど、これってどうなのかな?
・朝5時からメールが飛び交う組織なんだけど、これってどうなのかな?
上記に書いたことはあくまで一例ですが、もし上記のような環境に疑問や引っ掛かる部分があるとしたら、少し立ち止まって、自分が働いていたいと思う職場環境や文化はどういうところなのかな?ということを言語化すると良いと思います。
環境を変えるのは、社内異動もいいと思いますし、転職も視野に入れてよいと思います。
1つの企業に長年勤める時代はもう終焉しています。
様々な企業の情報を集めて、取捨選択するという時代です。
関心のある方はエージェントさんから情報取ってみてください。
色々教えてくれますよ。
参考までにこういちがおススメする3つのエージェントさんのお名前を下記に残しておきますね。
JAC Recruitmentさんは確実かなと思います。
【ランスタッド】 元々はヨーロッパ系の人材紹介会社なので、外資案件豊富
またAnsewersさんも製薬業界に特化しているので、様々な職種の案件を扱ってます。
興味ある方はぜひ、情報取ってみてください。
それでは本日は以上です。
最後に記事の執筆にご協力頂いたPharma marketer in Singaporeさんにお礼申し上げたいと思います。
ありがとうございました!!
*記事はいまも募集しているので、ご興味ある方はコンタクトフォームからご連絡ください。X経由でご連絡頂いても構いません。
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