メディカルアフェアーズ担当者必見!メディカルギャップの考え方。現経営企画、外資系製薬会社元MSLが解説します。

製薬会社の将来を考える
この記事を読んでわかること
重要なメディカルGAP
1.Evidence Gap
2.Knowledge Gap

どうも、こんちには、こういちです。

仕事やプライベートを忙しいことをいいわけに、更新をサボっておりました。

すみません!!

さて、今日はメディカルアフェアーズを目指す方、メディカルアフェアーズで仕事をする方向けの内容をお届けしたいと思います。

メディカルアフェアーズって何?とか、MSLって何?といった、他のホームページでも紹介しているような内容ではなく、実務的な内容について述べていきたいと思います。

ずばり、メディカルギャップについてです。

メディカルギャップ

そもそもメディカルギャップって何?と思われた方も多いと思います。

ここでは明確な定義があるわけではなく、意味合いとして、「メディカルアフェアーズが考えるべき現状と理想のギャップ」とお考え下さい。

今日はこのメディカルギャップについて、私の考えや経験も踏まえて記事にしていきたいと思います。

ちなみにギャップには色々な種類があって、ネーミングしようと思えば、色々なギャップに対してたくさんの名前付けができる思います。

しかし、ここでは特にメディカル活動で重要だと考えられる2つのギャップ、Evidence GapとKnowledge Gapに絞って書いていきます。

Evidence Gap

これはメディカル担当者なら当然考えているし、誰もが意識している部分かと思います。

「理想と現状を鑑みた時に、どんなエビデンスが足りていないのか?」

を考えるのがEvidence Gapに取り組む最初のステップです。

最初のステップと書きましたが、実はここ、めちゃくちゃ大切です。

そして多くのチームがこのステップをきちんと踏んでいません。

私はこれまで外資系製薬会社2社で10以上の新薬や新たな適応症のEvidence Generationの活動に関わってきました。

その中で多くのメディカルリードの方と仕事をしてきましたが、正直、現状分析と理想の設定というところで、不十分な取り組みが目立つ印象を受けてます。

以下いくつか質問をします。

-現状分析(既存のエビデンスの整理)は十分に行いましたか?

-臨床試験で得られるエビデンスと得られないエビデンスは整理されていますか?

-R&Dやマーケティング、Pricing、Market Accessチームを交えて議論がされていますか?

-計画しているEvidence Generationで解決出来るGapはなんですか?

これらの質問に対してすぐに回答出来ない状態の場合は、チームによる検討が不十分な可能性があります。

もしメディカルアフェアーズの方でEvidence Generationに取り組んでいる方がいたらぜひ今一度、ご自身の活動を振り返って欲しいと思います。

またこれからメディカルアフェアーズを目指される方は、ぜひこの質問を意識されて活動することをオススメします。

Gapを意識するかしないかで成果は大きく変わってきます。

取り組み方は色々です。

既存のエビデンスの整理は、ベンダーを活用することも出来ます。

またベンダーを活用して、クロスファンクションのディスカッションを促すことも可能です。

ぜひ、ご検討頂ければと思います。

最近はEvidence GenerationをLeadするようなポジションの求人もちらほら見かけます。

フレームワーク作りやワークショップをリードして、Evidence Generationを体系的に整えていこうとする企業も増えていますよね。

こういった求人が増えている一つの背景としては、やはりチームとしての取り組みが不十分な結果として、Evidence GenerationをLeadするようなポジションのニーズが高まってきているのだと推察しています。

情報提供ガイドラインでガチガチに営業活動が制限されている昨今ではエビデンスは超重要なメッセージツールの一つになっています。

ここに企業が力を入れるのは必然の流れかと思います。

ということでここまでEvidence Gapに関することについて述べてきました。

正直、ここについてはメディカルの方は意識することが多いと思うので、次は意識の弱い、だけどとても重要な別のGapについて述べていきます。

Knowledge Gap

これはもしかするとあまり聞きなれない言葉かも知れないですね。

こういちの考える定義としては、医師の認識や知識にGapがある状態を指します。

例えば、

■ガイドラインで明記されている指針と医師の認識や知識にGapがある

■安全性の面で自社の薬剤に対して必要以上に警戒心が強い、背景にあるのは不十分な副作用対策の知識経験

このようなケースです。

このGapに対して明確にActionを行っていく意識があるかないか、そして戦略的にGapをどう埋めにいくかを考えていくことが、メディカルアフェアーズの腕の見せ所でしょう。

よくエビデンスジェネレーションを声高に主張するメディカルの方がいます。

しかし、エビデンスが十分にあれば、アンメットニーズは満たされるでしょうか?

使われるべき薬剤が適切に使われ、淘汰されるべき薬剤の使用が減っていくのでしょうか?

答えは残念ながらNoです。

エビデンスだけでは、不十分です。

エビデンスに基づいて、医師のknowledge(知識や認識)を変えに行く活動が無ければ、医師の行動は変わりません。

しかしながら、ここの意識が弱いあるいは戦略的でないケースがメディカルアフェアーズでは散見されます。

例えばこんなケースとよく遭遇します。

-エビデンス創出にばかり夢中になって、それをどう広めて行くかまで考えていない担当者。

-薬剤の安全性を医師が懸念している(=Gap)ことは明白なのに、そこに対して本社の認識が弱く、アクションが戦略的でなく、単発的企画とどまってしまうケース

-KPIの設定が不十分でメディカル活動が自己満足に終わっているケース。

こんな担当者やケースを数多く目の当たりにしてきました。

実際に現場を回った経験値やマーケティングの知識を体系的に学んで来ていない、もしくは乏しいことが原因だと思われますが、恐らく多くの製薬会社のメディカルアフェアーズに当てはまる、もしくは該当するチームがあるのではないかと思います。(もちろん中には優秀なメディカルの方がいることも知っていますが、あえて記述します。)

さてここからは提言になります。

Knowledge Gapの埋め方としては

-ガイドラインへの働きかけ

-Medical Educationの企画

-Medical Education Web page の開発

-戦略的なセミナー

-KOLとの計画的で戦略的な面会

-計画的で戦略的な学会発表

色々なActionがありますが、大事なことはGapを埋めるためのメッセージやコンテンツに戦略があり、かつ一貫性(consistency)があることです。

これがないとKnowledge gapは中々埋まっていきません。

そしてメディカルの活動は、営業数字のようなものがないので、市場調査やアンケートを定期的に行うことで知識や認識がどのように変化しているか、活動の効果を見て行く必要もあります。

ここも不十分なケースが多いので注意が必要です。

上記に書いたことを意識した上でMedical Planを立てることができれば、ある程度質が担保されたPlanになると考えられます。

ある程度、MSLとしての経験値やマーケティング的な知識やビジネスセンスも必要になります。

このKnowlege Gapに対する考え方を身に着けておくことで、どこの製薬企業のメディカルに行っても通用すると思いますので、ぜひ意識してみると良いと思います。

ちなみにこの考え方は、私がMSL時代に、当時チームのリードであったメディカルドクターから叩き込まれたものです。

臨床経験も長く、治験でも企業との付き合いの長い元医師でしたので、そんな先生の言葉には説得力がありました。

先生曰く「医者は教えてくれと言わないだけで、製薬企業から教わっているケースは非常に多い。Knowledgeを強化/補完してくれる企画には高いニーズがある。」とのことでした。

そんな先生と戦略的なMedical Educationを企画して、全国を飛び回ったのは、いまではいい思い出です。

まとめ

ということで本日の内容は以上です。

メディカルギャップ

①Evidence Gap

②Knowledge Gap

について書かせてもらいました。

久々のブログで、しかもメディカルアフェアーズに一言物申す的な内容になってしまい恐縮ですが、私自身のMSL経験を通じて大切な考え方だと思っている部分でしたので共有させて頂きました。

参考にして頂けますと幸いです。

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