この記事を読んでわかること ・Ascendis pharmaのパイプライン情報と日本の開発状況
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どうも、こんにちは、外資系製薬会社経営企画室に勤めるこういちです。
今日は外資系バイオベンチャーシリーズです。
このシリーズのおかげなのかはわかりませんが、ブログのアクセス数も順調に増えてきております。
ありがたいですね。
今日、取り上げるのはAscendis pharmaです。
ご存じない方も多いと思います。
こういちなりに調べた情報をお届けしたいと思います。
それではどうぞ。
Ascendis pharma
2007年にデンマークで立ち上がった会社です。
2015年にはNASDAQに上場を果たしています。
41st Annual J.P. Morgan Healthcare Conference(January 9, 2023)の資料では日本拠点の存在は確認できませんでした。
でも実は日本語のホームページが存在します。
ご興味ある方はリンクをクリックしてみてください。
でも、中身はほとんどがGlobal サイトの焼き直し。
戦略や技術に関する情報が日本語で載っています。
ただ、日本法人に関する情報はありません。
そもそも日本法人があるのかどうかも、2022年3月時点のホームページではわかりませんでした。
Googleで色々調べてはみたものの、Ascendis pharmaの日本法人情報は出てきませんでした。
なので現時点では日本法人は立ち上がっていないのかもしれません。
でも日本語サイトは存在する。
後ほどご紹介しますが、Ascendis pharmaのPh3が日本で動いているのは確かです。
従って、立ち上げの可能性は大いにあると思います。
近いうちに日本法人が立ち上がり、社長も決まっていくのではと予想します。
水面下ではすでに採用が始まっている、もしくは決まっているかもしれませんね。
それではどんなパイプラインがあるのかを見ていきましょう。
Ascendis pharmaのパイプライン
ここからは、Global ホームページの情報を中心にお届けします。
こちらの資料は41st Annual J.P. Morgan Healthcare Conference(January 9, 2023)から抜粋した資料になります。
詳細は株主向けのGlobal ホームページからアクセス可能です。
注力領域は2つ
・内分泌希少疾患領域
・オンコロジー領域
になります。
コマーシャル品(すでに海外で上市されている薬剤)
製品化されている薬剤は、lonapegsomatropin(ロナペグソマトロピン)。
小児成長ホルモン分泌不全症に対する治療薬です。
週に1回投与の長時間作用型成長ホルモン製剤になります。
古くから使われているソマトロピン(1日1回投与)のプロドラッグ製剤とのことです。
米国とヨーロッパではSKYTROFA®という製品名で発売されています。
写真はこちら。
古くから使用されている成長ホルモン剤のソマトロピンは通常連日投与が必要とされています。
AscendisのTransConと言われる技術を用いることで、プロドラッグ化し、1週間に1度の投与を実現させたようです。
TransCon技術のメリットについて日本語ホームページに説明がありましたので、引用の形でお伝えします。
一言でいうと”徐放の技術”です。
【有効性】
- 1日から6ヶ月間に1回など、長めの投与間隔がとれる未修飾の親薬物により計画的な徐放が可能
- 全身または局所に治療薬の徐放が可能となる
- 投与回数を減らすことで、患者さんのアドヒアランスを向上させ、全体的な治療結果を改善できる
- 望ましい薬物動態プロファイルに合わせて投与・放出することで、親薬物の効果を最適化する
【安全性と忍容性】
- 親薬物の臨床プロファイルに基づき、TransConプロドラッグも同様の安全性と免疫原性プロファイルを見込める
- TransConの局所送達により、全身への曝露を最小限に抑えつつも局所の薬物濃度を高く維持することで、安全性プロファイルの改善が期待できる
【開発】
ascendis pharma 日本語ホームページ
- 既存の知識を活用し、検証済み親薬物やメカニズムを検討することで、医薬品開発の成功率向上が見込める
- イノベーションを反映した新たな組成物の特許出願の可能性が出てくる
https://ascendispharma.jp/technology/
アメリカでは2021年8月、欧州では2022年1月にそれぞれ承認になった模様です。
どれくらい売れているのでしょうか?
以下がUSの売上です。
徐々に売上を伸ばしているのが分かりますね。
€17.1 million at Q4 2022
1€=145円(2022年3月)位ですので、4Q2022年の売上は24億円程度の売上です。
他に情報がないか探したところ、2023年2月16日に年間売上も出てました。
Ascendis Pharma Reports Full Year 2022 Results
2022年の売上は€35.7 million ≒51.7億円程度のようです。
まだまだの売上ではありますが、徐々に売上を伸ばしているようですので、今後の成長に期待ですね。
開発品 (Global全体)
もう一度同じ図を引用します。
内分泌系の希少疾患の開発状況
①TransCon hGH (TransCon技術を用いたヒト成長ホルモン[hGH])
・小児成長ホルモン分泌不全症(日本)Ph3
・成人成長ホルモン分泌不全症(Global) Ph3
・ターナー症候群(米国) Ph2
②TransCon PTH (TransCon技術を用いた副甲状腺ホルモン[PTH])
・成人の副甲状腺機能低下症(米国と欧州) 申請中
・成人の副甲状腺機能低下症(日本) Ph3
③TransCon CNP (TransCon技術を用いたC型ナトリウム利尿ペプチド[CNP])
・軟骨無形成症(Global) Ph2
オンコロジーの開発状況
①TransCon TLR7/8
・固形がん(Ph2)
②TransCon IL-2β/γ
・固形がん(Ph1)
上記になります。
直近ではPh3入りしているものが多い内分泌系の製品の上市が中心になりそうです。
Ascendis pharmaの日本における開発状況
Ph3が3つ動いてます。
①小児成長ホルモン分泌不全症(日本)Ph3
②成人成長ホルモン分泌不全症(日本を含むGlobal開発) Ph3
③成人の副甲状腺機能低下症(日本) Ph3
これらがあるため、日本語のホームページを用意したのでしょう。
それぞれ詳しく見ていきますね。
小児成長ホルモン分泌不全症(日本)Ph3
hGH未治療の思春期前の日本人小児成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)患者を対象として、lonapegsomatropin(TransCon hGH)を週1回、52週間投与したときの有効性、安全性及び忍容性を標準的なhGH補充療法の連日投与と比較し、検討する、第3相、多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、並行群間比較試験 目標症例数 50例 試験終了日 2023年02月22日
試験の予定終了日は2023年02月22日となっておりますが、治験の状況はRecrutingのまま。
まだ50例に到達していないのかもしれませんね。
この辺の詳しいところまではよくわかりませんでした。
でも治験施設が36施設もあるようです。
目標症例50例に対して、この施設数はすごい。
Ascendisの気合の入れようを感じました。
ここから推察(あくまで予想)できるタイムラインですが、
Top Line Result 2023年4Q
申請 2024年1H
承認 2025年1H
こんな感じになろうかと思います。
発売されるまでにあと2年位は掛かるかもしれません。
成人成長ホルモン分泌不全症(日本を含むGlobal開発) Ph3
成人成長ホルモン分泌不全症の患者を対象として、lonapegsomatropinを週1回投与したときの有効性及び安全性をプラセボの週1回投与及びソマトロピン製剤の連日投与と比較する多施設共同、無作為化、並行群間比較、プラセボ対照(二重盲検)及び実薬対照(非盲検)試験 目標症例数 240例 試験終了日 2024年12月31日
治験施設数は、19施設。
そこそこ数がありますね。
投資家向け情報には、2023年4QにTop Line Result予想と記載がありました。従ってタイムライン的には、
Top Line Result 2023年Q4
申請 2024年2H
承認 2025年2H
こんな感じになろうかと思います。日本は小児も成人も同じ位のタイミングで進むかもしれませんね。
このあたりはエントリーの進み具合で変わると思うので、あくまで予想です。
成人の副甲状腺機能低下症(日本) Ph3
PaTHway Japan 試験:副甲状腺機能低下症を有する日本人成人患者を対象にTransCon PTHを1日1回皮下投与したときの安全性、忍容性及び有効性を検討する、第3相、多施設共同、単群非盲検試験 試験開始日(予定日) 2021年06月10日 試験終了日(予定日) 2025年11月30日 目標症例数 12例
目標症例数は12例。
症例数が少ないので終了予定日より早く終わるだろうなと思ったら、案の定、すでに26週のTopline Dataが41st Annual J.P. Morgan Healthcare Conference(January 9, 2023)で共有されておりました。
92%の患者が複合エンドポイントを達成と出てました。
複合エンドポイントとは以下のようです。
投与26週後の以下の被験者の割合: - アルブミン補正血清Ca(sCa)が正常範囲(8.3~10.6 mg/dL)内、かつ - 活性型ビタミンDからの離脱、かつ - 治療用量のカルシウムからの離脱(すなわちカルシウム補給製剤の投与量が600 mg/日以下)
また安全性については以下の記載を見つけることができます。
TransCon PTH was generally well-tolerated, with no discontinuations related to study drug
ふむふむ、治験薬に関連した継続中止も見られなかったとありますので、安全性にも問題ないようです。
こちらは順調に発売に進みそうですね。
すでにToplineが出ていますので、
2023年2H申請
2024年2H承認
もあり得えます。
そうすると、日本で一番最初に発売される薬剤はこの薬になるかもしれません。
以上、ここまで日本で動いている3つのPh3試験について、詳しく見てきました。
患者さんに有益な治療薬の開発が順調に進んでいる状況が見て取れて、大変嬉しく感じました。
日本で薬が発売されるのも間近ですね。
一方で、気になるのは競合の存在です。
特に成長ホルモンの分野には、
〇ファイザーの「エヌジェンラ」(1週に1回の成長ホルモン:2022年発売)対象:小児
〇ノボノルディスクファーマの「ソグルーヤ」(1週に1回の成長ホルモン:2021年発売) 対象:成人
というメガファーマの競合が日本ではすでに参入しています。
日本でプレゼンスがほぼないといっても過言ではないAscendis pharmaがこれらの競合とどのように差別化を図り、ポジションニングを確立していくのか?
そのあたりも今後の注目ポイントになりそうです。
日本法人の立ち上げは?
昨年からこういちが秘かに注目していたAscendis pharma。
今回改めて調べてみて思ったのが、
「2023年中に立ち上げあるな」
ということです。
わくわくしますね。
予想でしかありませんが、
2024年、2025年と新薬上市の可能性がありますので、現在日本法人立ち上げに向けて日本法人の代表候補を探している、もしくはすでに決まっているような段階かもしれません。
転職エージェントにも聞いてますがまだどこも情報は持っていなさそうです。
(最近コンタクトとっていないですが、JAC Recruitmentはこの手の案件持っている可能性あります。)
デンマークの会社なので、米国のバイオベンチャーよりも給与水準は少なめかもしれませんが、立ち上げ段階で入社するときは高い年収のオファーが期待できます。
〇部長クラスで2000万円+RSU
〇マネージャークラスで1500万円+RSU
これ位は期待できるかもしれません。
ちなみにAscendis pharmaの過去5年間の株価はこんな感じ。
まだ低いのでこれから伸びていく可能性は大いにあるかなと感じます。
こういった日本での立ち上げ案件を支援している、また外資系バイオベンチャーに特化しているエージェントさんとも最近繋がりましたので、バイオベンチャーで働くことに興味がある方がいたらこういちTwitterにDMください。
個人的な繋がりでご紹介させて頂きます。
(ちなみにAscendis pharmaの案件をお持ちというわけではございませんので、ご承知おきください。)
ただ、こういう案件はいつどこで、どのように動くかわかりません。
従って、複数の転職エージェントと繋がっておくことが重要です。
以下こういちが登録しているエージェント一覧です。
エンワールドジャパン 製薬専門チームありです。
JAC Recruitment 外資系案件に強みをもっています。
マイナビエージェント どちらかというと内資系案件が多い。
リクルートダイレクトスカウト 本社系案件に強い印象。
【ランスタッド】 外資系案件に強みを持っています。
【アクシスコンサルティング】コンサルティング会社に興味があれば、登録しておいて損はないです。特にBIG4(PwC/EY/KPMG/デロイト)とのコネクションが強く、実績を出しています。20代なら挑戦するのもおおあり!キャリアの幅がぐんと広がります。
複数登録して、様々な所から情報を得るのは戦略的キャリア形成においては必須のアクションです。
特にエンワールドジャパンとJAC Recruitment は公開前の求人を比較的多く紹介してくださるイメージが強いです。
ご登録まだの方は、無料ですので良かったらサイト覗いてみてください。
ということで本日は以上になります。
最後までお読み頂きありがとうございました!
(っと、ここまで書きましたが、可能性としてはどこか日本の製薬会社と提携してビジネスを展開することも大いに考えられます。プレゼンスが日本ではないですからね。
そうなると大規模立ち上げという話ではなくなります。ただアライアンスのために少人数でオフィスだけ設けるということも考えられなくもありませんので、やはり今後の動向には注目です!)
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