この記事を読んでわかること ・「匿名希望」メディカルさんの小さな命を救うための物語
どうも、こんにちは。
外資系製薬会社経営企画室に勤めるこういちです。
朝活は115日目に突入しました。
朝は肌寒く、秋の訪れを感じます。
さて、今日はブログ読者の方からの記事寄稿第4弾です。
先週、以下のブログで記事の募集を行いました。
早速お一人目の方から、超絶ハイスピードで初稿を提出頂き、校正も完了したので、
掲載させて頂く運びとなりました。
素晴らしいストーリーになってますので、ぜひご覧ください。
製薬×感動体験
こんにちは、はじめまして。某製薬メーカーでMSLをしている”匿名希望”と申します。
本題の前に、少し自己紹介をさせてください。
自己紹介
私は、仕事がどうにも上手くいかなくてキャリア迷子になっていた時、ふとしたきっかけでMSLに誘われて、いつのまにか定着し、そのまま数年が経過しています。
パフォーマンスが優れているというわけではなくて、むしろ要領が悪く、会社にしがみついているぱっとしないチー牛のような地味な存在だと自分では理解しています。
目次
「製薬×感動エピソード」ということで、忘れられないエピソードをお伝えさせていただきます。
内容は下記です。
1,超希少疾患とは
2、超希少疾患の対応をするまでの経緯
3、一筋縄ではいかない超希少疾患の対応
4、振り返ってみて
超希少疾患とは
希少疾患は各国で基準が違いますが、日本では5万人以下の患者数の疾患とされています。
ということは、数万人の患者数がいて、医師も疾患を知っていて、対処療法も含めた治療法も知られている一般的な疾患に近いものから、患者数数人で医師も疾患を知らないし、治療法が存在しない、まさに超希少疾患にあたるものまであります。
そんな中で、偶然経験したのが、医師も疾患を知らない、かつ、日本で診断された患者さんはいたものの、治療された患者さんはいなかった製品の担当でした。
超希少疾患の対応をするまでの経緯
超希少疾患ということで、疾患や製品の研修は受けたことがあるものの、他疾患の業務がかなりあり、超希少疾患に関する仕事は殆どしていませんでした。
(他国に合わせて、適応を取っただけと考えておりました。)
そんなとき、担当エリアが被っていたMRさんから、突然、電話がありました。
いつも冷静沈着な彼女なのに、その時ばかりは要領を得ず、落ち着かない様子でした。
MR「希望さん、今日の午後、何しています?」
希望「在宅勤務で文献をまとめる予定ですよ。どうかしました?」
MR「私のために時間をいただけませんか?助けてください!」
希望「は、はい?!?! いったいどうしたんですか?」
MR「未だ診断がついてないのですが、超希少疾患の患者さんと思われる方がいるんです。しかも、幼児です!急いでいます!!!」
希望「え?!本当ですか?!(状況が切羽詰まっていることを伺い、)こちらでやれることからになりますが、やります。状況は伺ったので、まずは上司に確認して、折り返します。」
ーーーーーーー
希望「上司さん、MRさんから、超希少疾患のリクエストがありました。一刻を争う状況と思いますので、お手伝いさせてください。」
上司「俺も今朝、聞いたよ。まずは、希望さんは全力で彼女達に協力しなさい。俺たちも全力でやるから。」
希望「わかりました。」
上司「さっき、Global HQ(Globalの本社)の担当者にも連絡した。時差があるので、夕方にはレスがあるはず。現場が混乱しないように、一次対応は希望さんにお願いします。」
希望「分かりました。」
一筋縄ではいかない超希少疾患の対応
そんなやり取りがあり、MRさんから連絡先をいただいた先生とオンライン面談になりました。
患者さんの状態を伺った後、まずすべきことをお伝えし、幾つかの宿題を受け取りました。
・患者さんは、翌朝までに大病院に移動し、診断が確定したらば、そこで集中的に治療をされるとのこと。
・併せて、MRさんから提供された疾患説明資材以外の情報も必要なものが欲しい。
とのリクエストをいただきました。
ここからが一筋縄では上手くいきませんでした。。。
通常のケースですと、先生方も疾患のことをご存じで、そのまま患者さんやご家族に話が出来ると思いますが、超希少疾患なので、そうもいかず。
かつ、製薬会社からの資材にも一連の治療薬の使い方も書かれていますが、そこもかなり限定的な情報に限られていました(疾患の特性上、仕方ないと思います)。
社内サーバーにも、整備している日本人症例の情報や日本語になっている資材や動画もありませんでした。
このままでは患者さんの命にも影響しますので、MRさんや上司、Global HQを含めた社内の人たちとも念密に相談しました。
文献等の情報を吟味し、先生方に伝えるべき内容と社内の見解を精査し、順次、ご連絡し、またお問い合わせを受けることを繰返しました。
中でも苦慮したのが、Globalでは広く使われていた補助治療薬が日本での承認が無く、使えなかった点です。
まさかと思いました。
文献を渡した段階で先生からも指摘がありましたが、用途を考慮し、日本で使える物を活用して、HQと同じ趣旨のやり方で進めることで先生方とも、HQとも合意しました。
先生方とは、主にメールでのコミュニケーションをしていました。
返信がある朝10時と夜10時には備えて対応していました(恐らく、先生方が空いている時間はそこなのでしょう。)。
そんなこんなやりとりを数か月する中で先生方やGlobal HQ、日本支社内でのメンバーとの信頼関係を築いていきました。
振り返ってみて
患者さんの状態が安定してからは、通常業務の範囲に収まってきました。
ある時、先生から、「親御さんから、入学時検診でうちの子が他の子よりも少し小さいようだけど、、、」と言われたという話を伺いました。
健常児との比較で考えられているレベルで生活の質が保たれていると解釈し、「頑張ってよかったな!」と非常に嬉しくも感じました。
患者さんの命に関わる緊急事態でしたし、前例もないので、先生方や社内各所とも連携しながらの試行錯誤でした。
併せて、医療機関や患者さん、ご家族の内部にもかなり踏み込んだ(踏み込ませていただいた)部分もあり、医療環境の向上に細やかながら貢献できたことは良かったと思います。
たまたまご縁があって入った会社で、偶然担当した事例でしたが、上手く進んで、かなり貴重な経験が出来て良かったと思います。
かつての私がそうであったように、キャリアプランをがちがちに考える方も少なくないと思いますが、それ以上に「運」の要素も大きいと感じております。
キャリアプランを考えることも大切ですが、併せて、目の前の仕事にしっかりと取り組むのも大切なこと、そして、それが「運」を引き込んで、良い経験やキャリアに繋がると考えております。
以上です。
今回執筆の機会をいただいた製薬キャリアさん、ありがとうございます!
また、最後までお付き合い頂いた読者のみなさんも、ありがとうございました!
こういちの感想
なかなかしびれる投稿ですよね。
匿名希望さんのようなケースを体験できるMRやMSLの方っていうのは、なかなかいないと思います。
緊急性が高かったということで、なんだか私も惹かれるように文章を読んでしまいました。
貴重な体験の投稿、ありがとうございます!
文章を読んで、その真面目なお人柄も滲みでていると感じました。
出来事が特殊であったことももちろんですが、医師や患者さんとの信頼関係が構築できたのも、そういうお人柄あってこそなのかなと推察しました。
あとは、最後に若手の方に向けたメッセージをお願いしたのですが、納得の文章ですね。
キャリアプランを考えることも大切ですが、併せて、目の前の仕事にしっかりと取り組むのも大切なこと、そして、それが「運」を引き込んで、良い経験やキャリアに繋がると考えております。
匿名希望さんの文章より抜粋
その通りと思います。
私も以前、「計画された偶発性理論」をブログで執筆していますが、目の前の仕事にしっかりと取り組むことは、キャリアを考える上で、重要な要素であると思っています。
「今を大切に考える」キャリア思考でもあります。
そういった部分についても、今回、匿名希望さんにはメッセージを頂きました。
素晴らしいお考えと思います。
お一人目ということで、超絶ハイスピードで記事を入稿くださり、記事の修正・追加もお願いした当日に行って頂きました。
その早い対応力にも脱帽です。
匿名をご希望ということで、お名前をご紹介できないのは残念ですが、この度の記事寄稿に深く感謝申し上げます。
希少疾患の薬を扱いたいなら転職も視野に入れるべし
これは以前のブログの中でもこういち自身が書いたことですが、
希少疾患の薬を扱いたいなら、そういう薬を持っている会社に転職するしか道はありません。
会社は大好きだし、
周りの同僚も大好き、
でも扱う薬剤や商材に今ひとつ気持ちが乗って来ない。
こんな状態なら転職も視野に入れると良いかなと思います。
残念ながら扱う薬については、
その会社のポートフォリオ次第になるので、
こればっかりは会社を変えない限り、
変えることが出来ません。
自分が本当に扱いたいと思える薬かどうかで、
売り上げにも大きく影響してきます。
だって医師に勧める時の気持ちの持ちようが全然変わりますからね。
そういう部分、想いの部分って、相手に伝わるものなんです。
なので、もし
「希少疾患の薬を扱いたい!」
「スペシャリティの薬を扱いたい!」
「オンコロジーの薬を扱いたい!」
という気持ちが強くて、
いまの会社でそれが実現できないなら
当然、転職は視野に入れてよいと思います。
そういう想いは大事にされたほうが良いと思います。
希少疾患の求人は
このあたりが複数有しています。
興味がある方は話を聞いてみてください。
外資バイオベンチャーの案件はその時々で扱う転職エージェントが変わってきますので、
上記に挙げたうちの最低2社は抑えておいて、
ご自身の希望の求人があったらすぐに連絡してもらえるように
しておいたほうがいいです。
ということで本日のブログは以上になります。
最後に改めて記事を寄稿頂いた匿名希望さんに厚くお礼申し上げます。
素晴らしいストーリーをみなさんに読んで頂きたいと感じました。
ありがとうございました!!
コメント