この記事を読んでわかること ・Insmed (インスメッド)のパイプライン情報
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どうも、こんにちは。
外資系製薬会社経営企画に務めるこういちです。
今日も、外資系バイオベンチャーシリーズです。
最近このシリーズにはまっているのは、私自身勉強になるのと、ちょくちょく案件の紹介があるためです。
ちなみにInsmedの案件はAnswersから入ってきました。
製薬専門チームを有しているエンワールド。
登録無料なんで情報欲しかったら登録の価値ありです。
さて、今日はInsmed (インスメッド)についてです。
日本法人が設立されたのは2017年。
もう6年経ちました。
社員数は70名を超える規模にまでなってきているようです。
Insmed (インスメッド)のことを日本語で検索すると、会社の詳しい情報やいまの既存のビジネスである肺MAC症に適応を有するアリケイスの情報がすでに他のブログや記事などでも取り上げられています。
なので私のブログではこれらについて、細かいことは述べません。
私は、Insmed(インスメッド)のGlobalサイトで公開されている最新の株主向けの情報から、ビジネス、特に将来のパイプライン情報を中心に、今日の内容をお届けしたいと思います。
それではどうぞ
株主向けに公開されている情報
詳細をお読みになりたい方はダウンロードしていただくのがよろしいかと思います。
本日時点で、2023年1月の資料がダウンロードできますが、年を追うごとに更新されていきます。
なので、以下に記載の情報は2023年1月時点の情報という点に留意しながら御覧ください。
売上
• On track to achieve 30% revenue growth in 2022
2022年は30%の収益の伸びを示したということです。
• $285M to $300M in revenue expected in 2023
2023年はGlobal全体で約285億円-300億円の収益が予想されています。
(理解をわかりやすくするために1ドル100円換算にして記載しています。)
ビジネスの柱
①ARIKAYCE(アリケイス)
②Brensocatib(ブレンソカチブ)
③TPIP(トレプロスチニルパルミチル吸入粉末)
④Early Stage Research
ビジネスの柱はこの4つで構成されていますね。
④のEarly Stage Researchは、海のものとも山のものとも、まだなんとも言えませんので、ブログからは割愛します。
コマーシャル品、つまり上市をされている製品
いまのところ①ARIKAYCE(アリケイス)の難治性の肺MAC症 (肺非結核性抗酸菌症)のみです。
開発中の製品
①ARIKAYCE(アリケイス)
②Brensocatib(ブレンソカチブ)
③TPIP(トレプロスチニルパルミチル吸入粉末)
こんな状況です。
さて、適応症に絞って、細かくみていきましょう。
①ARIKAYCE(アリケイス)
Ph3開発中の適応症
- 初発の肺MAC症 (肺非結核性抗酸菌症)
(患者層を拡げていきたいみたいですね。)
②Brensocatib(ブレンソカチブ)
Ph3開発中の適応症:
- 気管支拡張症 (Bronchiectasis)
Ph2開発中の適応症:
- 鼻ポリープのない慢性鼻副鼻腔炎 (Chronic Rhinosinusitis without Nasal Polyps)
- 嚢胞性線維症 (Cystic Fibrosis)
- 化膿性汗腺炎Hidradenitis Suppurativa (HS)
③TPIP(トレプロスチニルパルミチル吸入粉末)
Ph2開発中の適応症:
- 間質性肺炎に関連した肺高血圧症 (Pulmonary hypertension associated with interstitial lung disease [PH-ILD])
- 肺動脈性肺高血圧症 ( Pulmonary arterial hypertension [PAH])
①②③から見てわかるように、呼吸器系に焦点を絞っている会社ということがよくわかります。
ただ、これはGlobalでの開発状況なので、日本ではどうなっているのでしょうか?
主たる治験情報(Ph3)に絞ってみていきますね。
治験成分記号 | 対象疾患 | 開発相 | 治験届出者名 | 実施予定期間 | ||
ALIS | 新規の非空洞型の肺非結核性抗酸菌症 | 第Ⅲ相 | インスメッド合同会社 | 2021/11/27 | ~ | 2023/12/31 |
INS1007 | 気管支拡張症患者(嚢胞性線維症を原因疾患とするものを除く) | 第Ⅲ相 | インスメッド合同会社 | 2021/03/01 | ~ | 2024/09/21 |
主たる治験情報リストから抜粋 2022年1月31日更新版
Ph3はこの2つのプログラムが走っている状況です。
個人的な注目 Brensocatib(ブレンソカチブ)
①のアリケイスは現在競合もいないようなので、順調にビジネスは推移していくと予想されます。
以下2021年のanswersの記事からの抜粋です。
薬価収載時の中央社会保険医療協議会(中医協)の資料によると、アリケイスは国内でピーク時に177億円の売り上げを予測。インスメッドの2020年のグローバル売上高が1億6440万ドル(約181億円)だったことを考えると、同社にとっても日本がいかに重要な市場であるかがわかります。
answers 2021年7月21日
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/21481/
アリケイスについて詳しく知りたい方は上記リンクにアクセスください。
私が注目しているのは最初の適応症として気管支拡張症を対象として開発が進行しているBrensocatib(ブレンソカチブ)です。
何故ならこの疾患、あまり薬がないためです。つまりアンメットニーズが高い。
まず、気管支拡張症について簡単に解説します。
気管支拡張症
済生会のホームページの説明が呼吸器学会のものよりわかりやすかったので、そちらを引用させて頂きます。
何らかの原因で気管支が非可逆的(元にもどらない)に拡張してしまう病気です。
気管支が拡張するといくつかの問題が生じます。
拡張した部分に細菌やカビが増殖して炎症を起こし、感染を繰り返すことにより病状が進行します。
気管支が拡張した部分には炎症に伴って血管が増えるため、血痰や喀血をきたすことがあります。
治療方法として、自覚症状が乏しい軽症例は経過観察をすることが多いですが、気管支に貯留した分泌物は細菌増殖の場となり、気道を刺激して咳を誘発するので、できるだけ痰を出しやすくするために去痰剤の投与、ネブライザー(吸入器)、体位排痰法などを含めた呼吸リハビリテーションを行ないます。
症状の軽減や炎症をおさえるために、マクロライド薬の少量投与が行なわれる場合もあります。
感染症を合併した時には、原因菌検査を行なって適切な抗菌薬を選定して治療を開始します。
血痰や喀血のある場合は、止血剤の投与を行ないますが、喀血が止まらない時には内視鏡的止血法、気管支動脈塞栓術や外科的切除術が考慮されます。
済生会ホームページ 2017.04.19 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/bronchiectasis/
薬として投与されるのは、去痰剤や抗菌薬がメインのようで、この適応症に特化した薬剤というのはいまのところ発売されていないようです。
Brensocatib(ブレンソカチブ)とは
さて次はBrensocatib (ブレンソカチブ)について見ていきましょう。
DPP1阻害薬のブレンソカチブは、1日1回投与の経口剤として開発中。
DPP1を阻害することで、炎症に関与する好中球セリンプロテアーゼの活性を抑え、好中球性の炎症を抑制する薬剤です。
answers 2021年7月21日 https://answers.ten-navi.com/pharmanews/21481/
Answersにはこのようにさらっと記載されております。
さて、どれくらい効くのでしょうか?
ちょっと調べてみたら、Ph2のデータがNEJMで公開されておりました。
リンクはこちら
(英語)
さらに調べたらケアネットでもすでに情報がまとめられていました。
(日本語)
さらにさらに調べたら、YoutubeでもUKの先生がWILLOW Study(今回のPh2の試験名)について発表してました。
(英語)
27分26秒頃からご覧頂けます。
有効性/安全性に絞って簡単にご紹介します。
有効性
主要評価項目(初回増悪までの期間)に絞ってお伝えすると、
brensocatib治療群は、プラセボ群と比較して初回増悪までの期間が有意に延長しています。(10mg群対プラセボのp=0.03、25mg群対プラセボのp=0.04)。
縦軸が「増悪のない患者の割合」、横軸が「期間(Days)」です。
ブレンソカチブ投与群がプラセボと比較し、増悪のない患者の割合を高く、かつ長期間に渡って維持していることが分かります。
つまり、効果がある薬ということですね。
(個人的にはブレンソカチブ群がもう少し上振れしていたほうが、Ph3に安心して進めると感じました。
この結果だとPh3で統計学的に優位差出すには、それなりの患者数設計が必要になるだろうと予想します。
調べたらPh2 256例に対して、Ph3は1620例ですね)
安全性
なお、とくに注目される皮膚の有害事象の発生は、プラセボと比べて25mg群において、brensocatibの用量群で有意に高い結果になっていたようです(図の一番下)。
また頭痛(headache)、息切れ(Dyspnea)、下痢(Diarrhea)がプラセボと比べて25mg群において、brensocatibの用量群で有意に高い結果になっていたようです。
この有効性、安全性データの結果に基づき、問題なく次のPhaseに進めることが確認され、現在Global Ph3が絶賛進行中です。
ASPEN studyという名前です。
40の国と地域で試験が実施され、460ものサイトが登録予定です。
もちろん日本も入ってます。
Ph3の患者の登録は1620例。Ph2が256例でしたので、大幅に増えてますね。
株主向け資料によると、TLR(Top Line Result)の発表予定が2024年の2Qとなっています。
そこから申請、審査、承認になりますので、こういち予想はまずFDAが2025年の3Q 頃の承認になるのではと予想します。
日本はそれに続く形でしょうから、2025年4Qか2026年1Q頃承認ではと予想します。
(あくまで推察ですので、そのあたりは何の保証もありませんので、ご留意ください。)
気管支拡張症を主として効能効果を持っている薬剤はいまのところ無さそうですので、発売されれば使われていきそうですね。
案件はAnswersから。情報収集すべし
ブレンソカチブの発売まで後2年以上ありますので、InsmedのビジネスとしてProfit Center(収益源)となるのはアリケイスのビジネスでしょう。
初発の肺MAC症 (肺非結核性抗酸菌症)の適応拡大が日本でも取れればさらに売り上げ増が期待できます。
そしたら次の新薬であるBrensocatib(ブレンソカチブ)の発売に向けて増員することが予想されます。
さて、Insmedの案件ですが、実は定期的に入って来ています。
昨年はMSLの求人もありましたし、最近は既に発売されているアリケイスのマーケティングのポジションの求人情報も入ってきていました。
気になる年収ですが、InsmedはどうやらRSUの付与があるようです。
アメリカ系バイオベンチャーなので基本給プラスボーナスも悪くないそうです。
エージェントの話しを元に推察すると、
Manager 1000-1200 + RSU
Associate director 1400-1700 + RSU
Director 1700-2000 + RSU
といった給与レベルかと思います。
案件はAnswersから貰いました。
こういう外資系バイオベンチャー企業の案件はその時々によって、紹介してくるエージェントが異なる印象を持っています。
従って、複数のエージェントを登録しておくことをオススメしています。
こういちが登録している企業は以下です。
JAC Recruitment 外資系案件に強みをもっています。
エンワールドジャパン 製薬専門チームありです。
マイナビエージェント どちらかというと内資系案件が多い。
リクルートダイレクトスカウト 本社系案件に強い印象。
【ランスタッド】 外資系案件に強みを持っています。
【アクシスコンサルティング】コンサルティング会社に興味があれば、登録しておいて損はないです。特にBIG4(PwC/EY/KPMG/デロイト)とのコネクションが強く、実績を出しています。
積極的に情報収集して、年収アップとキャリアアップされることをオススメします。
それでは本日は以上です!
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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